地図で見ると、ただの小さな山だ。 標高わずか523m。 でも、冬の錐山は別物だ。 雪をまとった頂上から見渡す景色に、言葉が出ない。 北海道の内陸部、人がほとんど来ない静けさの中に、あの山はある。 わざわざ行く理由は、行った人にしかわからない。
錐山のおすすめスポット
錐山登山口|静寂の中に、足跡が一つもない
朝8時、登山口に着いた。
駐車スペースに車は1台もない。
雪は前夜に降ったばかりで、ふわふわしている。
足を踏み出すたびに、ザクッと沈む。
その音だけが響く。
トレースが全くない。
つまり、今日の一番乗りだ。
ちょっとした緊張感がある。
登山道は整備されているが、冬は自分でルートを読む必要がある。
チェーンスパイクは必須だ。
アイゼンでも問題ない。
スノーシューがあれば、もっと楽だっただ。
樹林帯の中は風がなく、不思議なほど静かだ。
鳥の声すら聞こえない。
自分の呼吸音と、雪を踏む音だけ。
こういう孤独感、嫌いじゃない。
登山口から頂上まで、ゆっくり歩いて約1時間20分。
距離は短いが、雪があると別物の体力を使う。
錐山山頂|360度、白い世界だけがあった
樹林帯を抜けた瞬間、視界が一気に開けた。
そこからが本番だ。
羊蹄山が、でかい。
圧倒的にでかい。
雪をかぶった姿が、青空に突き刺さっている。
反対側には洞爺湖も見える。
その向こうに太平洋がうっすら光っている。
気温はマイナス12度くらいだ。
風が出てきて、体感はもっと寒い。
でも動けない。
この景色から目が離せない。
標高523mとは思えない開放感がある。
周囲に遮るものがない。
北海道の広さを、体で理解した瞬間だ。
写真を撮っていたら、指先が痛くなってきた。
グローブは絶対に外さない方がいい。
スマホの操作用グローブを持ってくれば良かったと少し後悔した。
滞在できたのは15分くらい。
それ以上いると体が持たない。
でも、その15分は確実に記憶に残るやつだ。
喜茂別町の温泉|下山後の体が、溶けていく
下山したのは昼過ぎ。
足はパンパンで、指先の感覚がうっすら怪しかった。
迷わず温泉へ向かった。
喜茂別町には、小さな温泉施設がある。
地元の人ばかりで、観光客はほぼいない。
料金は500円だ。
シャンプーとボディソープは備え付けがある。
タオルは持参した方がいい。
湯船につかった瞬間、体中がじんじんした。
冷えた体に、ゆっくり熱が戻ってくる感覚。
これが登山の後の温泉の正解だ。
地元のおじさんが話しかけてきた。
「錐山に行ったの?珍しい」と言われた。
地元民でも、冬に登る人はあまりいないらしい。
お湯は無色透明で、さらっとした泉質。
長湯したら眠くなってきた。
帰りの運転、気をつけないといけないやつだ。
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錐山への行き方
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