函館から特急で1時間ちょっと。 長万部という地名を知っている人は、まだ少ない。 でも、駅を降りた瞬間にわかる。 ここには、余計なものが何もない。 冬の空気が刺さるほど澄んでいて、 湯けむりだけがゆっくり流れている。 誰かに話したくなる温泉町が、北海道の山裾にひっそりとある。
長万部温泉のおすすめスポット
長万部温泉|湯けむりの向こうに、何もない夜がある
宿についたのは夕方5時過ぎ。
フロントで鍵を受け取って、浴場へ向かった。
源泉かけ流しで、湯温は約42度。
塩化物泉特有のじんわりした温かさが、
芯まで染みてくる。
驚いたのは浴槽の深さだ。
肩まで沈むと、体が一瞬浮く感覚がある。
そのまま天井を見ていたら、
10分が20分になっている。
湯上がりの廊下が、また良かった。
窓の外に街灯が一本だけ。
足元がぽかぽかしたまま、ぼーっと外を眺めた。
長万部温泉は日帰り入浴も受け付けている宿が多い。
料金は400〜500円が相場。
観光客より地元の人が多い。
それが、正直一番いいと思う理由だ。
長万部駅周辺の街歩き|日本で一番静かな朝市だ
朝8時に駅前を歩いた。
人がいない。
でも、静かすぎて怖いとは思わない。
駅のすぐそばに小さな商店が並んでいる。
地元の人が自転車で買い物に来ている。
野菜が一袋100円で売っている。
長万部といえばかにめしが有名だが、
個人的に刺さったのは駅そばの立ち食いだ。
朝から昆布だしが効いたそばを300円台で食べられる。
体が温まって、また外に出たくなる。
冬の商店街は風が強い。
体感気温はマイナス5度以下になる日もある。
でもその分、湯に戻ったときの気持ちよさが倍になる。
街の規模は小さい。
30分もあれば一周できる。
でも歩いてみると、時間の感覚がゆるんでいく。
それが長万部の正体だ。
長万部公園と噴出口跡|自然が地面を突き破った場所
宿の人に「どこか見どころは」と聞いたら、
「公園に行ってみてください」と言われた。
長万部公園は駅から歩いて15分ほど。
冬は雪に覆われて、誰もいない。
でも、地面から湯気が出ている。
温泉の噴出口の跡がある場所で、
地熱が今も続いているのがわかる。
ただ白い蒸気が静かに立ち昇っているだけなのに、
足が止まった。
地面の下に、何かが生きている感じがした。
観光地でいうと全然映えない。
でも、理由もなく5分くらい見ている。
周辺は松の木が多く、
雪と木の白と緑のコントラストが鋭い。
冬にしか見えない景色だ。
誰もいない公園を一人でうろうろするのは、
旅の中でいちばん自由な時間だ。
入場無料。それも含めて好きだ。
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長万部温泉への行き方
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