雌阿寒岳の隣に、もうひとつの山がある。 阿寒富士。標高1476m。 名前を聞いただけでは、ピンとこないだ。 でも一度あの山頂から見渡したら、もう忘れられない。 冬の阿寒は、別の星みたいだ。
阿寒富士のおすすめスポット
阿寒富士登山道|雪煙の中を、ただ上へ
オンネトー野営場から登山道に入る。
冬季は完全な雪山になる。
アイゼンなしでは話にならない。
チェーンスパイクじゃなく、前爪付きの12本爪。
それが最低ライン。
登り始めて30分、樹林帯を抜けると景色が一変した。
遮るものが何もない。
風が顔を刺す。
雪が締まっていて、踏み込むたびにキュッと鳴った。
斜面の傾斜はじわじわ上がっていく。
山頂直下は40度近い急登になる。
ここで引き返す人を何人か見た。
正直な判断だ。
山頂まで夏道で約2時間。
冬は3時間以上みたほうがいい。
体感温度はマイナス20度を超えることもある。
でも上を向いたとき、空の青さが尋常じゃない。
北海道の冬の空は、本州とは別物だ。
山頂からの眺望|阿寒湖が、遠くに白く光っている
山頂に立った瞬間、声が出ない。
言葉にならなかった、というより、する気にならない。
眼下に広がるのは、凍った阿寒湖。
その向こうに雄阿寒岳。
空が低くて、雪原が果てしなくて、全部が静止しているみたいだ。
隣の雌阿寒岳からは白い噴煙が上がっている。
あれが動いているのが、かろうじて「今も生きてる山なんだ」と思わせてくれた。
風が強い日は体を持っていかれそうになる。
山頂で写真を撮ったのは5分もない。
それでも十分だ。
あの景色は、目に焼き付いている。
晴れの日の午前中が勝負。
午後から雲が上がりやすい。
8時には登山口を出発したほうがいい。
オンネトー|帰り道に寄る、凍った湖の静けさ
下山後、オンネトーに立ち寄った。
登山口から車で5分かからない。
冬のオンネトーは全面結氷している。
湖面が鏡みたいに白くなって、そこに阿寒富士と雌阿寒岳が映る。
観光客はほとんどいない。
静かすぎて、耳が痛かった。
「五色沼」と呼ばれるのは、季節や天候で色が変わるから。
夏は透明感のある青緑になる。
冬は白と灰色の世界。
それはそれで、息をのむ美しさだ。
湖畔を歩く遊歩道は冬季閉鎖区間がある。
無理に入るな、と看板に書いてあった。
実際、踏み抜いたら洒落にならない。
夕方4時を過ぎると急速に暗くなる。
阿寒湖温泉まで車で約30分。
下山後はそのまま温泉直行が正解だ。
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阿寒富士への行き方
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