北海道の山の中でも、雄冬山はちょっと異質だ。 アクセスが悪い。案内板も少ない。 それでも来たくなるのは、あの雪原の静けさを一度知ってしまったから。 標高1,209m。決して高くはない。 でも冬の稜線に立つと、日本海と暴風雪の痕跡がそのまま広がっていて、言葉を失う。
雄冬山のおすすめスポット
雄冬山登山口|雪に埋まった入口から、すべてが始まる
冬の登山口は、ほとんど雪に埋まっている。
標識を探すのに5分かかった。
駐車スペースも除雪されていないことがある。
早朝6時着。気温はマイナス12度。
トレースがあるかどうかで、その日の難易度が全然違う。
先週誰かが踏んだ跡が、風でほぼ消えている。
ここから先はラッセル覚悟だと悟った瞬間、妙に気持ちが落ち着いた。
雄冬山の冬はそういう山だ。
整備された登山道じゃない。
誰かが切り開いたわけでもない。
自分で雪を踏んで、ルートを探しながら進む。
最初の1時間は樹林帯。
風が遮られて、シンとした空気の中を歩く。
雪が降り積もった枝が時々、どさっと落ちてくる。
その音だけが響いている。
雄冬山稜線|暴風の爪痕と、静止した白い海
樹林帯を抜けると、急に視界が開く。
そこからが本番だ。
稜線は風が強い。
この日は風速15m前後。
体ごと持っていかれそうな場面が何度かあった。
でも立ち止まって振り返ると、日本海が見える。
増毛の町と、その向こうの水平線。
冬の海は鈍い銀色をしている。
稜線の雪は固く締まっていて、アイゼンが気持ちよく刺さる。
シュカブラが並んでいた。
風が削った波状の雪紋。
誰も手を加えていない造形物が、何百メートルも続いている。
山頂まで、登山口から約4時間。
コースタイムは体力と雪の状態で大きく変わる。
軽量化より保温を優先した方がいい。
フリースを3枚重ねていても、稜線では寒かった。
山頂に着いた時、ガスが出てきた。
でも数分後に晴れた。
そういう山だ、ここは。
雄冬岬展望台|下山後の、もう一つの絶景
下山後、車で15分ほどの雄冬岬展望台に寄った。
ここは雄冬山とセットで見てほしい場所だ。
日本海に突き出た岬の先端に立つと、さっきまで自分がいた山が見える。
稜線から見た海と、海から見た稜線。
同じ日に両方を見ると、距離感がつかめてくる。
展望台へは駐車場から徒歩5分ほど。
冬は凍結しているので軽アイゼンがあると安心だ。
夕方4時頃、西日が海に落ちていった。
オレンジ色が水平線に溶けていく様子を、しばらく見ている。
山で消耗した体で、ぼーっと立っている。
観光地じゃない。
売店もない。
自販機もない。
それがよかった。
雄冬という場所の終わり方として、完璧だ。
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雄冬山への行き方
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