硫黄の匂いが、鼻をつく。 バスを降りた瞬間、もうそこは別の世界だ。 登別温泉の奥、地獄谷を越えた先にある「鹿の湯」。 観光客でにぎわう表通りとは、空気が違う。 静かで、熱くて、少し怖いくらいの自然がある。 ここに来るたび、温泉ってこういうものだと思い直す。
鹿の湯のおすすめスポット
鹿の湯|硫黄と静寂、野趣あふれる源泉かけ流し
扉を開けると、湯気が顔にぶつかってきた。
脱衣所は古い木造で、ロッカーもシャワーもない。
そういう場所だ。
源泉温度は約50度。
そのまま入ったら、10秒と持たない。
加水した浴槽でも、じわじわと肌が赤くなっていく。
湯の色は乳白色、硫化水素の香りが濃い。
洗い場はなく、かけ湯だけで体を温める仕組み。
スマホも時計も、何も持ち込まない。
ただ、湯に浸かるだけの時間。
窓の外は雪。
静かすぎて、自分の呼吸が聞こえる。
こんなに何も考えない時間は、久しぶりだ。
料金は大人600円。
朝8時から夜11時まで営業している。
混雑を避けるなら、平日の午前中がいい。
観光バスが来る前の、静かな鹿の湯は格別だ。
地獄谷|雪の中で、地面が煮えている
鹿の湯から歩いて5分。
地獄谷は、冬に来て正解だ。
雪がべったり積もった遊歩道を歩くと、突然視界が開ける。
直径450メートルのすり鉢状のくぼ地。
そこかしこから、湯気がもくもくと立ち上っている。
気温はマイナス5度だ。
吐く息も白いのに、地面は熱い。
足元の地面が、生きているみたいに感じた。
入場料は無料。
遊歩道は整備されているが、冬は滑る。
防水のブーツを必ず履いてほしい。
スニーカーで来た観光客が、何人も引き返している。
夕暮れどきに来ると、オレンジ色の空と湯気が混ざり合う。
カメラを持ってくれば、必ず後悔しない。
北海道に何度も来ているのに、あの景色は初めて見た。
そういう場所だ。
登別温泉街|夜の街は、鬼と地獄で飾られている
日が暮れると、温泉街の顔が変わる。
鬼の石像に明かりが灯り、土産物屋の看板が光る。
なんとも言えない、昭和的なにぎやかさ。
泉源公園まで歩くと、夜9時に間欠泉が噴き上がる。
高さは約8メートル。
見物客から、自然と歓声が上がった。
寒さを忘れて、ただ見ている。
温泉街の食事処で食べたラーメンは、1杯1,000円。
湯上がりの体に、熱いスープが染みた。
海鮮よりも、そういう素朴なものが食べたくなる街だ。
帰りのバスは登別駅まで約15分。
最終は22時台なので、宿泊しない場合は時間に注意。
一度、乗り過ごしたことがある。
冬の夜、バスを逃すと本当に困る。
それも含めて、鹿の湯の旅だ。
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鹿の湯への行き方
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