北海道の奥深く、人跡まれな場所に立つ山がある。 標高1839m。名前もそのまま、1839峰。 ガイドなしでは入れない。 それでも行きたくなるのは、そこにしかない白さがあるから。 冬の日高山脈は、静けさが暴力的なくらい深い。
1839峰のおすすめスポット
1839峰アプローチ|静寂に、足音だけが響いた
ガイドツアーに申し込んだのは10月の終わり。
出発は午前5時。
まだ空が紫色だ。
スノーシューを履いて林道を歩き始めると、すぐに人里の気配が消える。
樹氷に覆われた木々が、両側にずっと続いている。
声を出したくない。
出したら、何かが壊れそうな気がして。
アプローチだけで約4〜5時間。
途中で何度か膝が笑った。
それでも足を止めると、風の音と自分の呼吸音しか聞こえない。
その静けさが、正直すこし怖かった。
ここは携帯が圏外になる。
GPSも頼りになりきらない。
ガイドなしで入山することが禁止されているのは、そういう場所だから。
入山料やガイド費用は1人あたり2〜3万円前後が相場。
安くはないけれど、その価格に見合う世界がある。
山頂からの眺望|360度、白しかない
山頂に出た瞬間、言葉が出ない。
雲海が足元に広がっている。
日高山脈の稜線が、左右に鋭く伸びている。
空の青と、雪の白だけ。
それ以外、何もない。
午前11時ごろに登頂。
気温はマイナス15度前後。
風が吹くと、体感温度はさらに下がる。
バラクラバをしていても、頬の感覚がなくなっている。
それでも5分、10分と立ち尽くしてしまった。
カメラを出す手が震えていたのは、寒さだけじゃない。
ここまで来る人は年間でも数十人レベル。
それが納得できる景色だ。
観光地じゃない。
たどり着いた人間だけが見られる場所、という感じ。
その孤独感が、むしろ心地よかった。
ベースキャンプの夜|テントの中で、星が降ってきた
1泊2日のツアーでは、中腹にテントを張って泊まる。
夕方16時には暗くなる。
夕食は温かいシチューとご飯。
それだけで、泣きそうなくらいうまかった。
夜、外に出たら動けなくなった。
星が多すぎて、星座がわからなくなる。
そういう空だ。
気温はマイナス20度近くまで下がる。
シュラフの中でも、顔だけが冷たかった。
それでも何度も外に出てしまった。
この体験をするために、また来たいと思っている。
山頂の景色より、あの夜の星のほうが頭に残っている。
そういう旅だ。
翌朝は4時起き。
ご来光に間に合わせるため、ヘッドライトをつけて再び登り始めた。
その朝焼けの色は、写真には写らない。
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1839峰への行き方
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