標高1,174m。 そんなに高い山じゃない。 でも、冬のイクルシベ山は別物だ。 樹氷が稜線を覆い、足元には誰も踏んでいない雪。 風の音だけが聞こえる。 ここに来るまで、こんな景色が北海道にあると知らない。 知らないままにしておくのは、もったいなさすぎる。
イクルシベ山のおすすめスポット
イクルシベ山登山口|ここから先、人の気配が消える
登山口に着いたのは朝7時半。
気温はマイナス12度だ。
車を降りた瞬間、肺に刺さるような冷気。
「痛い」と思う前に「気持ちいい」が来た。
看板はシンプルで、装飾なし。
それがかえってこの山の性格を表している気がした。
登山道に足を踏み入れると、雪がきゅっきゅっと鳴る。
その音が好きで、わざとゆっくり歩いた。
入山届のノートを見ると、前日の記録は1組だけ。
そういう山だ。
混まない。
静かすぎるくらい静かな山だ。
スノーシューを持ってきて正解だ。
ツボ足では膝まで沈む場所もある。
装備だけは妥協しないほうがいい。
稜線の樹氷帯|白い怪物たちが並んでいた
標高900mを超えたあたりから、木の形が変わってくる。
枝という枝に氷がついて、もはや木じゃない何かになっている。
樹氷というより、白い彫刻。
それが何十本も稜線に並んでいた。
晴れていれば、空の青と樹氷の白のコントラストが異常なほど美しい。
この日は快晴だ。
運が良かった。
風が強い稜線で、思わず立ち止まった。
写真を撮る気にもなれなくて、しばらくただ見ている。
「すごい」より先に言葉が出ない。
稜線歩きは往復で約40分。
体感ではあっという間だ。
戻りたくないと思いながら、下山した。
山頂からの眺望|日高山脈が、全部見える
山頂に立ったのは午前11時ごろ。
登り始めから約2時間40分だ。
360度、遮るものが何もない。
北側には日高山脈の稜線がずらりと並ぶ。
幌尻岳もはっきり見える。
南には太平洋が広がっている。
雪山の山頂で海が見えるのは不思議な感じがする。
寒いのに、ずっといたくなる場所だ。
山頂の気温はマイナス18度。
ペットボトルの水が凍り始めている。
行動食はポケットに入れておかないと、カチカチになる。
そういう細かいことが、冬山では全部大事になる。
山頂で食べたカップラーメンは、間違いなく人生でいちばんうまかった。
お湯は山麓の駐車場で魔法瓶に入れて持参した。
これは絶対おすすめしたい。
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イクルシベ山への行き方
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