北海道の最果て、日高山脈の奥地にある山。 イドンナップ岳(1,752m)は、登山者の間でも「知る人ぞ知る」存在だ。 冬、あたりは白一色になる。 樹氷が稜線を覆い、足跡のない雪原が続く。 ここに来るまでの道のりが長くて、それがまた良かった。
イドンナップ岳のおすすめスポット
イドンナップ岳登山口|静寂が、耳に刺さるほど深い
林道を車で走ること約40分。
舗装が途切れたあたりから、空気が変わった。
冬の登山口は誰もいない。
足跡もない。
自分の息だけが、白く広がっていく。
標高差は約1,000m。
コースタイムは往復8〜10時間が目安だ。
序盤は針葉樹の森が続く。
雪が積もって、枝が弓なりに曲がっている。
その重さが、静かさを増している。
中腹を過ぎると、急に視界が開ける。
日高の山々が一気に飛び込んでくる。
ぺテガリ岳、神威岳、カムイエクウチカウシ山。
名前を知っているだけでは追いつかないほど、山が連なっている。
ここで5分、立ち尽くした。
風が冷たかったが、動けない。
イドンナップ岳山頂(1,752m)|日高が、全部見える
山頂に着いたのは、出発から5時間後。
気温はマイナス15度を下回っている。
それでも、立っていられた。
理由は、景色が凄すぎて寒さを忘れたから。
360度、さえぎるものがない。
日高山脈の主稜線が左右に広がる。
太平洋が光っているのも、遠くに見える。
樹氷が山頂直下まで続いている。
風で形が歪んだエビの尻尾。
触ると、パキッと折れた。
これが冬山にしかない質感だ。
昼食はカップラーメン。
お湯の温度がすぐ下がるから、ぬるかった。
それでも旨かった。
山頂で食べるものは、なぜかぜんぶ旨い。
下山は3時間半。
日が傾く前に、林道まで戻った。
暗くなってからの林道は、また別の話になる。
新冠温泉レ・コードの湯|山から下りたら、ここしかない
下山後、体の芯まで冷えている。
指先が動くまでに、しばらくかかった。
向かったのは新冠温泉「レ・コードの湯」。
登山口から車で約1時間15分。
入浴料は600円(大人)。
ここは音楽の町・新冠が運営する温泉施設だ。
内湯と露天があり、露天から牧場が見える。
サラブレッドの産地らしい、のどかな景色だ。
湯は弱アルカリ性。
ぬるっとした感触で、肌になじむ。
冷えた手足が、ゆっくり戻ってくるのがわかった。
館内にはレコードのコレクションがある。
10万枚以上あると聞いた。
壁一面のレコード棚を見ながら、コーヒー牛乳を飲んだ。
この時間が、山の後の「もう一つのご褒美」だ。
モデルコース
イドンナップ岳への行き方
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