地図で見つけたとき、読み方すら分からない。 イユダニヌプリ。 アイヌ語で「硫黄の出る山」という意味らしい。 北海道・道東の奥地に静かに立つその山は、冬になると別の顔を見せる。 雪と硫黄の匂いと、誰もいない稜線。 そこに立ちたくて、また行きたくなる山だ。
イユダニヌプリ山のおすすめスポット
イユダニヌプリ山|硫黄の匂いと、誰もいない白い稜線
登山口に着いたのは朝7時。
気温はマイナス12度だ。
車から降りた瞬間、鼻を刺す硫黄の匂い。
ここが火山帯の上にあることを、体で思い知らされた。
雪は深い。
トレースは当然ない。
ワカンを付けて一歩一歩踏み固めながら登る。
標高は1,000mに満たないが、斜面はなかなか手強かった。
稜線に出たとき、声が出ない。
360度、遮るものが何もない。
知床の山々がずらりと並んでいた。
オホーツク海の白い水平線も見える。
あの景色は写真に収まらない。
目に焼き付けるしかない。
山頂付近には噴気孔がある。
雪の中からもくもくと湯気が出ている。
不思議な光景だ。
火山の上に立っているという実感が、じわじわとやってくる。
下山は2時間。
トータル6時間の山行だ。
登山前夜の清里町|小さな町で、体を温める
前泊は清里町の宿にした。
人口3,000人ほどの静かな農業の町。
コンビニは1軒だけある。
夜ごはんは地元の定食屋へ。
道東産のホッケ定食が850円だ。
ふっくらとしていて、しつこくない。
旅先の食堂の定食は、なぜいつもうまいのか。
翌朝3時半に起きた。
外はまだ真っ暗。
マイナス15度の表示に一瞬ひるんだ。
準備は前日の夜に全部終わらせておくこと。
冬の朝は思考力が落ちる。
手袋はどこか、ゲーターはどこか、そんなことで時間を取られたくない。
清里町には温泉もある。
「パパスランドさっつる」は日帰り入浴も受け付けている。
下山後にここへ直行した。
600円で全身解凍できる。
体の芯まで冷えた後の温泉は、罪悪感なく贅沢だ。
知床峠の展望台|帰り道に立ち寄る、もう一つの絶景
イユダニヌプリからの帰路、知床峠に寄った。
国道334号線、標高738mの峠。
冬季は通行止めになる前のわずかな期間だけ上がれる。
11月上旬、かろうじて通れた。
駐車場に車を停めて、外に出た。
風が強い。
体感気温はマイナス20度を超えている。
それでも、羅臼岳の姿に釘付けになった。
雪をまとった巨体が、ただそこに立っている。
何も言わない山というのは、かえって圧倒される。
オホーツク海側と太平洋側、両方が見渡せる。
流氷が来る前の海は、深い群青色をしている。
展望台に5分といられない。
それでも十分だ。
5分で変わった何かが、確かにある。
知床峠は例年11月中旬〜4月下旬が通行止め。
タイミングを調べてから向かうこと。
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イユダニヌプリ山への行き方
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