北海道・道央の奥地に、ひっそりと立つ山がある。 イルムケップ山、標高1,166m。 有名な山でもなければ、整備された観光地でもない。 だけど冬、この山はとんでもない顔を見せる。 樹氷と雪原と、遠くまで続く白い稜線。 それを見たくて、わざわざここまで来た。
イルムケップ山のおすすめスポット
イルムケップ山登山口|朝6時、誰もいない雪の世界に踏み込む
冬の朝6時、登山口には誰もいない。
気温はマイナス14度。
吐く息がすぐ白く凍る。
ルートは整備されていない。
GPSと先人のトレースだけが頼りだ。
スノーシューをつけて、ひたすら歩く。
最初の1時間は単調な樹林帯。
だけど足元の雪が深くなるにつれ、
木々の形が変わり始める。
枝という枝に、雪がこんもり積もっていく。
静かだ。
風もほぼない。
自分の足音と呼吸音だけが聞こえる。
この静けさが、妙にクセになる。
登山というより、雪の中に潜り込む感覚に近い。
スタートから山頂まで、コースタイムは約3〜4時間。
体力に自信がなければ冬季は避けた方がいい。
正直、軽い気持ちで来ていい山ではない。
山頂稜線|言葉が出なかった、あの白さ
稜線に出た瞬間、風景が一変した。
樹氷の森が途切れて、
突然、白い空間が広がった。
視界360度、山と空だけ。
大雪山系の稜線が、遠くまで横たわっている。
天気が良ければ、旭岳まで見える。
この日は雲ひとつない。
雪の表面がきらきら光っている。
パウダースノーが風に吹かれて、薄く舞っている。
その光景が、映画のセットみたいで現実感がない。
山頂には1,166mを示す標識がある。
写真を撮ろうとしたら、手袋を外した指が痛くなった。
気温はマイナス18度まで下がっている。
頂上に立っていた時間は10分ほど。
それ以上いると、体が限界だ。
でも、あの10分は鮮明に覚えている。
もう一度来たいと思った、確かに。
愛別町の温泉宿|下山後の温もりが、また格別だ
下山したのは14時ごろ。
足はもう限界だ。
車で30分ほど走って、愛別町内の温泉へ向かった。
「あいべつ温泉ふれあいの里」、日帰り入浴500円。
脱衣所で靴下を脱いだとき、
足の指が真っ赤になっている。
それほど冷えている。
お湯に浸かった瞬間、声が出た。
熱くて、痛くて、気持ちいい。
あの感覚は、山から下りてきた人間にしかわからない。
湯船から窓の外を見ると、
さっきまでいた白い山が見える。
距離と温度のギャップが、妙におかしかった。
夕食は道の駅「とうま」で買った惣菜で済ませた。
旭川まで戻ればラーメン屋もある。
山の後のラーメンは、反則的においしかった。
体が塩分を求めている。
モデルコース
イルムケップ山への行き方
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