名前からして、ただ者じゃない。 ウコタキヌプリ。 アイヌ語で「互いに向き合う山」という意味だと聞いた。 冬の道東、氷点下の空気の中でその稜線を見上げたとき、 なんでもっと早く来なかったんだろう。 観光地化されていない。案内板も少ない。 だからこそ、本物の北海道の山がここにある。
ウコタキヌプリのおすすめスポット
ウコタキヌプリ登山口|静寂の中に、踏み込む緊張感がある
朝7時、登山口に着いた。
車は1台も停まっていない。
トレースもない。
新雪が膝上まで積もっている。
夏山とは別物だ。
音がない、というより、音を雪が全部吸い込んでいる。
自分の呼吸だけが聞こえる状態で歩く。
これがスノーハイクの本質なんだと実感した。
装備はワカン必須。
スノーシューでも入れるが、急斜面ではワカンの方が動きやすかった。
アイゼンは稜線に出てから使った。
気温はマイナス15度前後。
手袋を外すと3分で指が痛くなる。
写真を撮るたびに手袋を外すのが地味にきつかった。
それでも撮らずにはいられない。
霧氷がついた木々が、全部シルバーに輝いている。
山頂稜線|360度、遮るものが何もない
登り始めて約3時間半。
稜線に出た瞬間、風が来た。
体ごと持っていかれそうな突風だ。
でも、目の前の景色に足が止まった。
阿寒の山々が全部見える。
雌阿寒岳、雄阿寒岳。
晴れていれば斜里岳まで見えるという。
この日は雲が薄くかかっていたが、それでも十分すぎた。
雪原の白と、空の青と、遠くの山の黒。
3色しかない世界だ。
シンプルすぎて逆に怖いくらいだ。
山頂での滞在は15分が限界だ。
体が冷える速度が異常に早い。
お湯を入れた水筒のスープが、飲んでいる途中で冷め始めた。
それでも来てよかった。
何度でもそう思った。
下山後の足寄温泉|体が溶けていく感覚はここにしかない
下山後、体の芯まで冷えている。
指先の感覚が完全には戻っていない。
そのまま足寄温泉に直行した。
湯船に足を入れた瞬間、痛いのか気持ちいいのかわからない感覚があった。
体が本気で温まろうとしている。
そういう感覚だ。
泉質はナトリウム炭酸水素塩泉。
とろみがあって、湯上がりの肌がしっとりする。
登山で擦れた皮膚に染みた。
入浴料は550円。
地元のおじさんが2人いるだけだ。
観光客向けの雰囲気は一切ない。
足寄の人の日常の温泉だ。
それが良かった。
ウコタキヌプリと同じで、飾っていない。
北海道の地方の山と温泉って、こういうものだ。
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ウコタキヌプリへの行き方
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