名前を聞いて、すぐに地図を開いた。 オションナイ山。 北海道の北部、幌加内町の奥に静かに存在する山だ。 標高は低い。 でも、冬に行ったあの日の景色は、まだ頭から離れない。 雪原と針葉樹と、どこまでも続く白い稜線。 派手さは何もない。 なのに、なぜか何度でも行きたくなる場所になった。
オションナイ山のおすすめスポット
オションナイ山|静寂に包まれた、北の白い頂へ
登山口に着いたのは朝7時半だ。
気温はマイナス14度。
息が白く、凍りつくような空気が肺に刺さる。
でも、それがいい。
積雪は1メートルを超えている。
トレースはほとんどなく、ほぼ自分たちだけのルートになった。
スノーシューを履いて、黙々と歩く。
樹林帯を抜けると、視界が一気に開けた。
朱鞠内湖が遠くに光っている。
あの瞬間、思わず立ち止まった。
山頂まで約2時間半。
標高は670メートルほどだが、冬の雪稜歩きは体力を使う。
アイゼンとスノーシュー、どちらも持っていくべきだ。
頂上には誰もいない。
風が強く、体感温度はさらに下がる。
それでも、そこから見える景色に言葉が出ない。
北海道の奥地にこんな場所があったのか、と。
下山は1時間40分。
足が沈むたびに雪がきらきら舞い上がった。
朱鞠内湖|山の後に見る、凍りついた湖の静けさ
オションナイ山を下りた後、朱鞠内湖に寄った。
冬の湖は全面結氷している。
湖面に降り立てる。
それだけで、ちょっとした非日常だ。
氷の厚さは場所によって1メートル近い。
踏むとギシッと鈍い音がする。
怖いけど、引き寄せられる感覚がある。
ワカサギ釣りの小屋がいくつか並んでいた。
テント型の簡易釣り小屋が1張1日2,000円ほど。
地元のおじさんに声をかけたら、少し竿を貸してくれた。
釣れたのは3匹だけ。
でも、氷の上に座って、風の音だけを聞いていた時間が忘れられない。
湖の周囲は約40キロ。
日本最大の人造湖のひとつだ。
夕方になると、空が赤く染まり、氷がオレンジ色に変わる。
山の疲れが、すうっと消えていく感じがした。
幌加内の蕎麦|下山後に食べる一杯が、ずるいくらい旨い
幌加内は、日本一の蕎麦の産地だ。
作付面積が全国1位。
それを知ったのは、この旅で初めてだ。
下山後に立ち寄った食堂で、ざる蕎麦を頼んだ。
900円。
色が違った。
少し黒みがかって、香りが立っている。
細くて、でもしっかりコシがある。
一口食べて、箸が止まらなくなった。
体が冷え切っている状態で食べたせいもある。
でも、それだけじゃない旨さだ。
地元の人に聞くと、新そばの時期は9月〜10月。
冬は保存された蕎麦粉を使うが、それでも十分すぎるほど旨い。
幌加内市街には蕎麦屋が数軒ある。
どこもこじんまりしていて、待たせない。
山帰りの格好で入っても、誰も気にしない雰囲気がいい。
ここだけのために、また来てもいい。
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オションナイ山への行き方
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