山の奥へ、奥へと車を走らせる。 人の気配がどんどん薄くなる。 そのうち、湯けむりが見えてくる。 オソウシ温泉は、北海道・南富良野の山中に突如現れる秘湯だ。 日高山脈の懐に抱かれ、標高約700mの場所にひっそりと立っている。 「こんな場所に、本当にあるのか」と思いながら着いた。
オソウシ温泉のおすすめスポット
オソウシ温泉 鹿の湯荘|何もない、がすべてだ
建物は古い。
ロビーも飾り気がない。
それがいい。
源泉かけ流しの湯は、ほんのり硫黄の匂いがした。
温度は約43℃。
熱すぎず、ぬるすぎない、ちょうどいい温度だ。
内湯から窓の外を見ると、すぐそこに森がある。
11月に訪れたとき、雪がちらついている。
誰もいない。
貸し切り状態で、40分ほど湯に沈んでいた。
泉質は含硫黄・ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉。
肌がつるつるになる。
これが「美人の湯」と呼ばれる理由が、湯から上がってわかった。
日帰り入浴は700円。
10時から受け付けている。
宿泊すると、誰もいない早朝の湯を独占できる。
それだけで、泊まる価値がある。
オソウシの冬景色|白くなった世界に、ただ立っている
11月の南富良野は、もう冬だ。
道路の端に雪が積もっている。
山が白くなっている。
オソウシ温泉へ向かう道中、車を一度止めた。
理由は、景色があまりに静かすぎたから。
音がない。
本当に、何も聞こえない。
風の音すら消えた瞬間があった。
日高山脈が遠くに見える。
雪をまとった稜線が、空と溶け合っている。
スマホを取り出すのが、なんか惜しかった。
温泉地の周囲は、オソウシ川が流れている。
川沿いを少し歩いた。
足跡だけが残る雪の上を歩くのは、妙に清々しかった。
観光地ではない。
ショップもない。
何もない。
でも、それがここの本質だ。
幾寅の街|映画の舞台が、そのまま残っている
温泉の帰り道、幾寅の街に立ち寄った。
ここは映画『鉄道員(ぽっぽや)』の舞台になった場所だ。
ロケ地として使われた「幌舞駅」のセットが、今も残っている。
駅のホームに立つと、妙に切ない気持ちになった。
列車は来ない。
人もほとんどいない。
でも、時間が止まったような感覚があった。
JR幾寅駅の構内にはロケ道具や衣装が展示されている。
入場無料。
高倉健が着たコートが、ガラスケースの中にあった。
駅の周辺には昭和の香りが残る商店が数軒ある。
開いているのかどうか、よくわからない店もある。
それがかえってリアルだ。
温泉で体を温めて、この街をぶらぶらする。
1時間もあれば十分だが、何かが引き留める場所だ。
モデルコース
オソウシ温泉への行き方
HUB CITY
札幌(拠点都市)から行ける旅先を見る →