名前が長すぎて、最初は読めない。 オプタテシケヌプリ。 アイヌ語で「槍のように尖った山」という意味らしい。 実際に登ってみて、その名前がひどく正直だとわかった。 十勝連峰の奥地に鎮座する標高2,012mの峰。 冬、その山は別の顔を持つ。
オプタテシケヌプリのおすすめスポット
オプタテシケヌプリ山頂|白と青だけの世界に、言葉が消えた
登山口は美瑛富士避難小屋方面から入る。
冬季は深いラッセルを強いられる。
スノーシューを履いて、ひたすら樹林帯を進んだ。
気温はマイナス15度。
息が白く固まる感覚があった。
稜線に出た瞬間、風が変わった。
轟音に近い。
でも止まれない。
山頂まで残り200mのところで視界が開けた。
十勝岳、トムラウシ、遠く大雪山系まで。
全部白かった。
すべてが雪に押しつぶされたような静けさ。
カメラを出す手が震えている。
寒さのせいだけじゃない。
山頂に立てたのは午前11時頃。
前日から美瑛の宿に泊まり、朝4時に出発した。
それだけの時間をかける意味が、ここにある。
誰もいない。
360度、自分だけの絶景だ。
白銀荘|体が限界のとき、温泉だけが答えだ
下山後、全身がひとつの疲労だ。
足首から腰まで、まとめて痛い。
向かったのは「白銀荘」。
十勝岳温泉郷にある道営の宿泊施設で、日帰り入浴も受け付けている。
料金は600円。
安い。でも湯が本物だ。
硫黄の匂いが鼻をついた瞬間、体が緩んだ。
露天風呂から見える景色が、また白い。
雪をかぶった山肌が、湯気の向こうにある。
ここは登山者専用じゃない。
でも登山後に来ると、全然違う場所に感じる。
内湯は広く、几帳面に熱め。
露天は少しぬるめで長居できる。
小1時間浸かっている。
気づいたら外が夕焼けになっている。
オレンジと紫が、雪山に落ちる時間。
それが見られただけで、今日来た意味があった。
望岳台|登らなくても、十勝連峰は圧倒する
体力に自信がない日は、望岳台に立つだけでいい。
それで十分だ。
標高930m。
ここは駐車場から歩いて5分で着く展望台。
でも眼前に広がるのは本物の大自然だ。
冬は駐車場まで除雪されているが、路面が凍る。
四駆かスタッドレス必須。
訪れたのは朝8時ごろ。
誰もいない。
雪原の先に、オプタテシケヌプリが見える。
槍のような頂が、青空に刺さっている。
あそこまで登ったのか。
感慨みたいなものが、じわじわ来た。
10分も立っていると耳が痛くなる。
それでも動けない。
山が近すぎる。
威圧感じゃない。
包まれる感覚に近い。
無料で、予約不要で、ただそこに行けばいい。
北海道の冬をいちばん正直に見せてくれる場所だ。
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オプタテシケヌプリへの行き方
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