標高1,060m。 知床の稜線に、その山はある。 サシルイ岳という名前を初めて聞いたとき、 どこか遠い星の名前みたいだ。 実際に立ってみると、眼下に広がるのは知床の原生林と オホーツク海の水平線。 冬は氷点下20度を下回る日もある。 それでも、来る価値がある山だ。
サシルイ岳のおすすめスポット
サシルイ岳山頂|氷点下の稜線で、地の果てを見た
羅臼岳から縦走してきた6時間目。
足が笑い始めた頃に、山頂に出た。
標高1,060m。
数字だけ見ると大したことなさそうに思える。
でも、この山の凄みは高さじゃない。
360度、遮るものが何もない。
西にはウトロの町。
東にはオホーツク海の流氷。
晴れた冬の日、流氷が白く輝いている。
気温はマイナス15度だ。
持ってきた水が凍りかけている。
それでもその場を離れたくない。
知床連山の縦走路の中間地点にあるため、
ここを単体で目指す人は少ない。
だからこそ、静かだ。
誰もいない山頂で、風の音だけが聞こえている。
羅臼岳登山口を朝5時に出発した。
サシルイ岳山頂着は11時過ぎ。
冬季は日照時間が短いため、行動開始は早めが鉄則。
知床連山縦走路|人間が、ただの動物になる道
縦走路に入ると、すぐに分かる。
ここは人間の場所じゃない、と。
登山道にヒグマの足跡があった。
新しいやつ。
今朝のものだと同行ガイドが言った。
クマよけの鈴を鳴らしながら歩いた。
自分が来たことを、ちゃんと知らせながら。
縦走路はサシルイ岳を含む4つのピークを繋ぐ。
全長は約18km。
1泊2日で歩くのが一般的なルート。
冬は雪が深く、ラッセルで体力を削られる。
夏よりも時間がかかると思っておいた方がいい。
それでも冬に来る理由がある。
夏は見えない流氷が、稜線から見えるから。
白と青の世界が、地平線まで続いている。
ああ、これを見たかったんだ瞬間があった。
ルート上に山小屋(二の沼野営場)あり。
予約不要・無料だが設備は最低限。
水場は凍結するため、冬は水の持参必須。
羅臼温泉|凍えた体を、地の底から温める
下山したのは16時だ。
手の感覚がなくなっている。
羅臼温泉まで車で15分。
その15分が長かった。
「熊の湯」という無料の露天風呂がある。
地元の人たちが管理している、素朴な共同浴場。
かけ湯をして入った瞬間、声が出た。
熱い。本当に熱い。
源泉温度は約80度。
加水はされているけれど、それでも熱い。
体が赤くなるまで浸かった。
向かいに知床の山が見えている。
さっきまであの上にいたと思ったら、
少し信じられない。
地元のおじさんが話しかけてきた。
「今日、どこ行ったの?」
「サシルイまで」と答えたら、
「この時期に?」と笑われた。
料金は無料。
シャンプーも石けんも持参が必要。
冬季は18時頃に閉まることが多い。
下山後は急いで向かった方がいい。
モデルコース
サシルイ岳への行き方
HUB CITY
札幌(拠点都市)から行ける旅先を見る →