地図で見つけたとき、読み方すら分からない。 サマッケヌプリ。 アイヌ語で「冷たい山」を意味するらしい。 冬の道東、気温はマイナス15度を下回る日もある。 それでも登りたい。 雪をまとった山頂から見える景色が、頭から離れなかったから。
サマッケヌプリ山のおすすめスポット
サマッケヌプリ山|雪の稜線を踏むたびに、世界が静かになっていく
登山口に着いたのは朝7時。
気温はマイナス12度だ。
息を吐くたびに白くなる。
スノーシューを装着して歩き始めると、すぐに日常の音が消えた。
踏み込むたびに雪がぎゅっと鳴く。
その音しかしない。
木々は霧氷をまとっていて、触ると粉雪が舞い散る。
まるで別の惑星に来たみたいだ。
標高1, 458m。
きつくなってきたのは中腹あたり。
足が沈む、引き上げる、また沈む。
その繰り返しに集中していたら、気づけば森林限界を超えている。
視界が一気に開けた瞬間、声が出た。
どこまでも続く白い稜線。
雌阿寒岳と阿寒湖が、ずっと向こうに見える。
その景色の前で、しばらく動けない。
登ってよかった。
本当に、それだけだ。
屈斜路湖|凍った湖の上で、朝日を待った
サマッケヌプリの麓には屈斜路湖がある。
日本最大のカルデラ湖だ。
冬になると湖面が凍る。
でも、御神渡りができるほど完全に凍るわけじゃない。
湖底から温泉が湧いているから、一部が開いている。
そこに白鳥が集まってくる。
朝5時半に宿を出た。
真っ暗で、星がまだ出ている。
湖畔に立つと、シベリアから来た白鳥が数百羽、水面に浮いている。
日が昇り始めると、湖が金色に染まる。
白鳥のシルエットが黒く浮かぶ。
写真を撮る手が止まらない。
寒さを忘れた。
この景色、ひとりで見るのがもったいない。
川湯温泉|体の芯まで冷えた日の終わりに
下山後、体の感覚がない。
指先、つま先、頬。
すべてが痺れている。
そのまま川湯温泉に向かった。
宿のチェックインより早かったけど、日帰り入浴で入れてもらえた。
600円だ。
硫黄の匂いがした。
湯船に入った瞬間、全身がじわっと溶けていくような感覚があった。
ph1.8という強酸性の湯。
肌がつるつるになる。
窓の外は雪景色だ。
湯気が舞い上がって、屋根の雪とまじって消えていく。
山でしんどい思いをして、温泉で全部リセットする。
北海道の冬の旅って、この繰り返しだ。
それがたまらなくいい。
モデルコース
サマッケヌプリ山への行き方
HUB CITY
札幌(拠点都市)から行ける旅先を見る →