冬の北海道に、湖に沈む橋がある。 タウシュベツ川橋梁——正式名称よりも、その姿で語られる場所。 結氷した糠平湖の上に、アーチが浮かぶ。 幻の橋、と呼ばれるのには理由がある。 水位が上がれば沈む。 冬だけ現れて、春には消える。 それを見に、零下の朝に踏み出した。
タウシュベツ山のおすすめスポット
タウシュベツ川橋梁|零下の湖に、コンクリートのアーチが静かに立っている
朝7時、外気温はマイナス15度だ。
防寒を3枚重ねて、それでも顔が痛い。
糠平湖の湖面は完全に凍っている。
ガイドと一緒に、その上を歩いた。
スノーシューを履いて、約40分。
近づくほど、橋がでかくなる。
写真で見ていたはずなのに、圧倒された。
1937年に旧国鉄が作った橋。
もう列車は走っていない。
廃線になって数十年、水の中に沈み続けてきた。
それでも、冬になると湖面の上に姿を見せる。
橋の下に立った。
アーチの向こうに、白い山が見える。
ここに来るまで、何枚写真を見ても伝わらなかった感覚。
ただ、静かだ。
風の音だけが、耳に届いた。
ひがし大雪自然ガイドセンター|橋に行くなら、まずここに来る
タウシュベツに行くには、ここを頼るしかない。
糠平温泉郷にある、小さなガイドセンター。
スタッフに話を聞いた。
「毎年、橋の状態が変わります。
今年は見られても、来年は水の底だ。」
それが、この場所の本質だ。
冬のツアーは、スノーシューで湖面を歩くコース。
初心者でも参加できる。
ガイドが氷の厚みを確認しながら進むから、安全だ。
センターでは地図や情報も手に入る。
橋の現在の状態、雪の状況、当日の天気。
前日に電話を入れておくと、よりスムーズだ。
出発前のブリーフィングで、橋の歴史を教えてもらった。
知ってから見るのと、知らずに見るのでは、まったく違う。
糠平温泉|零下の外から戻ってきた体に、湯が染みた
湖から戻って、温泉に入った。
体の芯まで冷えている。
糠平温泉は、タウシュベツの拠点になる温泉郷。
宿は数軒しかない。
静かな場所だ。
泊まったのは、「湯元館」。
一泊2食付きで15,000円前後。
料理は地元の食材が中心で、量が多かった。
夜、窓の外が真っ暗になった。
星を見ようと外に出た。
マイナス20度に近かったが、それでも出た。
満天、という言葉は知っている。
でも実際に見たのは初めてだ。
オリオン座が、ほぼ真上にいた。
朝、5時に起きた。
また橋を見たくて、宿の窓から方向だけ確認した。
白い山の稜線が、オレンジに染まっている。
それだけで、来た意味があった。
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タウシュベツ山への行き方
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