標高1,880m。 北海道の中心部、日高山脈に静かに立つ山がある。 チロロ岳。 派手な知名度はない。 でも、一度登ったら忘れられない。 冬、あの稜線から見た景色は今も目の裏にある。 白い世界が、どこまでも続いている。
チロロ岳のおすすめスポット
チロロ岳|静寂の稜線で、白い世界と二人きりになる
登山口に着いたのは朝6時前だ。
気温はマイナス15度。
息が白い。手がかじかむ。
それでも足が動いた。
ルートは林道を経由する北東尾根コース。
夏道と違い、冬はトレースが消えることもある。
この日は先行者の足跡が薄く残っている。
それを頼りに、一歩ずつ高度を上げた。
樹林帯を抜けると、視界が一気に開く。
ここからが本番だ。
風が強くなる。雪が硬くなる。
アイゼンの爪が氷に刺さる音だけが響く。
山頂まで約5〜6時間。
コースタイムどおりだが、冬は甘く見てはいけない。
ホワイトアウトになれば、下山ルートを見失う。
天気予報は3回確認した。
山頂に立った瞬間、言葉が出ない。
日高の峰々が、全部見える。
ペテガリ岳、カムイエクウチカウシ山。
名前を知っている山が、全部そこにあった。
林道アプローチ|ここに来るまでが、すでに冒険だ
チロロ岳への道は、登山口に着く前からはじまっている。
北日高チロロ林道。
未舗装の道が延々と続く。
冬は積雪で通行できない区間もある。
シーズンによっては、林道を数キロ歩くことになる。
この日は林道入口から約4km歩いた。
時間にして1時間以上。
そこがスタートラインだ。
でも、この歩きが悪くない。
シラカバとトドマツの森が続く。
川の音が聞こえる。
誰もいない。
静かすぎて、少し怖いくらいだ。
エゾシカの足跡が雪の上に残っている。
キタキツネのものもあった。
人間より先に、彼らがここを歩いている。
登山口に着いたとき、すでに体が温まっている。
そのまま山に入っていける状態になっている。
無駄な道のりではない。
下山後の日高町|体を温め、旅を締める場所
下山したのは16時を過ぎている。
冬の日高、すでに薄暗い。
体の芯が冷えている。
向かったのは日高町内の温泉施設。
「びらとり温泉ゆから」まで車で約30分。
入浴料は600円。
お湯がやわらかくて、じんわり効いた。
湯上がりに食べた豚丼が最高だ。
日高・平取はブランド豚「びらとりトマム豚」の産地。
甘めのタレと厚切りの肉が、疲れた体にしみた。
このルートで来る登山者は少ない。
温泉も、飯屋も、混んでいない。
静かに山に入って、静かに帰れる。
それがチロロ岳らしい。
帰り道、カーブを曲がったとき。
振り返ると、さっきまでいた山が見える。
日が落ちかけて、稜線がオレンジに光っている。
もう一度、来よう。
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チロロ岳への行き方
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