トサモシベという地名を、初めて地図で見つけたとき。 アイヌ語由来のその響きが、頭から離れない。 北海道の山の中に、静かに存在するこの場所。 冬に来ると、別の星に来たような感覚になる。 それを確かめたくて、雪の中に踏み込んだ。
トサモシベのおすすめスポット
トサモシベ岳登山口|雪に埋もれた道の先に、静寂がある
早朝6時半、気温はマイナス14度だ。
車から降りた瞬間、鼻の中が凍る感覚がした。
登山口の標識は半分、雪に埋もれている。
トレースはない。
スノーシューを履いて、自分で道を作っていく。
樹林帯を抜けるまでの約1時間が、とにかく静かだ。
風の音も、鳥の声もない。
自分の息と、雪を踏む音だけ。
その静寂が、少し怖かった。
でも同時に、ここにしかない時間だとも思った。
標高は低い山だけど、雪の重みで木が曲がっていて。
その白い回廊を進むたびに、現実から少しずつ遠ざかる感じがした。
冬の山をなめていると危ない。
でも、ちゃんと準備して来ると、こんな世界を見せてくれる。
そういう場所だ。
山頂からの展望|360度、白しかない世界
山頂に着いたのは、登り始めから約2時間半後。
標高は低い。でも、見えた景色は圧倒的だ。
どこまでも白い。
山が、丘が、平野が、全部白く塗りつぶされている。
遠くにオホーツク海が見えた気がした。
「気がした」というのは、空と海と雪の境界が曖昧で。
どこからが空で、どこからが地面なのか、わからなかったから。
風が出てきた。
体感温度がぐっと下がる。
それでも、5分くらいそこに立ち尽くしている。
「絶景」という言葉は使いたくない。
そんな観光地的な表現が似合わない場所だ。
ただ、白い世界に自分だけ放り出されたような感覚。
それを、ひたすら全身で受け取った。
下山後に飲んだ、魔法瓶の熱いコーヒーが、生涯ベストの味だ。
遠軽町の宿と食|山の後の、地元飯が沁みる
下山後に向かったのは、遠軽の市街地。
トサモシベ岳から車で40分ほどだ。
入ったのは地元の定食屋。
観光客向けじゃない、完全に地元民の店。
カウンター8席だけのこじんまりした場所。
豚丼を頼んだ。900円。
北海道の豚肉は違う。
甘いタレと分厚い肉が、冷えた体に即効で効いた。
宿は遠軽市街のビジネスホテル。
1泊6,000円台からある。
温泉ではないけど、大浴場がついている。
そこで1時間くらい、ぼーっとした。
山で消耗した体が、ゆっくり戻ってくる感じがした。
遠軽は派手な観光地ではない。
でも、山の後に帰ってくる町として、すごく居心地がよかった。
また来たいと思う理由のひとつが、この帰り道の感覚だ。
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トサモシベへの行き方
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