苫小牧の市街地から見える、なだらかな山容。 でも登ってみると、まったく別の顔がある。 冬のトッカリムイ岳は、雪と風と静寂だけの世界だ。 麓から頂上まで標高差は約300m。 たいした数字じゃない。 なのに、あの景色は一生忘れない。
トッカリムイ岳のおすすめスポット
トッカリムイ岳|雪原の向こうに、苫小牧の海が広がった
登山口に着いたのは朝8時。
気温はマイナス8度だ。
雪は前日に降ったばかりで、トレースがない。
ふくらはぎまで埋まりながら歩いた。
最初の30分は樹林帯の中。
風も遮られて、意外と静かだ。
ただ、雪を踏む音だけが聞こえる。
樹林を抜けた瞬間、視界が一気に開けた。
眼下に白い丘陵地帯。
その先に、海がある。
苫小牧の工業地帯と、太平洋。
この組み合わせを想像していない。
山頂標識は小さくて、雪に半分埋まっている。
標高はわずか141.2m。
でも冬の透明な空気の中で見る景色は、もっと高いところにいる気がした。
風が強くて、体感温度は相当低い。
5分もいられなかったけど、それでいい。
来た甲斐があった。
登山ルート|踏み跡ゼロの雪原を、自分でルートを引く
冬のトッカリムイ岳は、標識がほぼ役に立たない。
雪に埋まっているからだ。
GPSを入れておいて正解だ。
夏道は尾根沿いに続くシンプルなルート。
でも冬は、どこでも歩ける分、どこを歩けばいいか迷う。
ポイントは最初の分岐。
登山口から10分ほど歩いた場所にある。
右に進むと遠回りになる。
ここで左の斜面を直登した方が早かった。
傾斜はきつい場所もある。
特に頂上直下の雪面は、ステップを蹴らないと滑る。
軽アイゼンは持っていったが、スノーシューの方が快適だ。
下りは40分で戻れた。
登りが1時間20分だったから、雪のコンディションに左右される。
朝一番に入ると、踏み固められていない分、体力は使う。
でも誰も踏んでいない雪の上を歩く感覚は、それだけで来た価値がある。
下山後の苫小牧|港町の食で、体を温め直す
下山したのは正午ごろ。
体は温まっていたが、指先だけが痛かった。
まず向かったのは苫小牧市内の「味処あべ」。
地元の人で昼時は混む。
ホッキカレーを頼んだ。
800円台だ。
トッカリムイ岳はアイヌ語で「トドが集まる岩」という意味だそうだ。
ホッキもホッキ丼で有名な苫小牧。
海の幸と山が、この街ではちゃんとつながっている。
港の方まで足を伸ばすと、苫小牧港から船が出ていくのが見える。
太平洋フェリーの乗り場だ。
山から見えた海は、ここだったんだと気づく。
冬の苫小牧は観光客が少ない。
だからこそ、街の日常がそのまま見える。
山に登って、海を見て、港飯を食う。
それだけで十分な一日だ。
モデルコース
トッカリムイ岳への行き方
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