地図で見ると、ただの点。 でも実際に立つと、世界が全部見える。 ナメワッカ岳は、北海道・大雪山系の奥地にひっそりとある山だ。 アクセスは簡単じゃない。 それでも、冬にここへ向かう人間がいる。 あの白さを、あの静けさを、一度でも知ってしまったから。
ナメワッカ岳のおすすめスポット
ナメワッカ岳・登山口|ここから先、人の気配が消える
登山口に着いたのは朝6時半。
気温はマイナス12度だ。
車から降りた瞬間、鼻の奥が痛くなる。
その冷たさが、逆に「来た」という実感を連れてくる。
林道を歩き始めると、トレースがほとんどない。
前日に降った雪が、全部を埋め直している。
ラッセルで膝まで沈む区間もある。
静かすぎて、自分の息の音だけが聞こえる。
この山に観光客はいない。
整備された道も、案内板も、売店も何もない。
地形図とコンパスと、自分の足だけが頼りだ。
それが怖くもあり、気持ちよくもある。
登山口から山頂まで、コースタイムで約5〜6時間。
冬は7時間以上みておいた方がいい。
とにかく、余裕を持って入ることが大前提だ。
ナメワッカ岳・稜線|白と青だけの世界に出た
樹林帯を抜けた瞬間、視界が一気に開いた。
ああ、これだ。
稜線に出ると、風が別次元になる。
瞬間風速で20m近くになることもある。
アウターを一枚足さないと、体温が奪われていく。
でも、その稜線から見える景色は本物だ。
トムラウシ方面の山並みが、雲の下に広がっている。
雪煙が稜線を流れていく。
カメラを出す手が震えた。
寒さか、興奮か、どっちかわからない。
ナメワッカ岳の標高は1,649m。
数字だけ見ると大したことないと思うだ。
でも冬の北海道の1,600mは、別の話だ。
天候が急変したら、逃げ場がない。
山頂直下の急斜面は、アイゼンとピッケルが必須。
ここで引き返す判断をした日もあった。
それが正解だったと、今でも思っている。
ナメワッカ岳・下山後|温泉と食事で、体が戻ってくる
下山してから気づく。
全身が鉛のように重い。
足の指の感覚が、半分くらいない。
車に乗り込んで、ヒーターを最強にした。
窓が一瞬で曇った。
下山後に向かうのは、上川温泉のどこかの日帰り入浴施設だ。
「層雲峡温泉」エリアには複数の温泉があり、日帰り入浴は600〜800円台が多い。
お湯に浸かった瞬間、足先がじんじんと痛みだした。
それが生きてる証拠だ。
食事は層雲峡の食堂でラーメンを食べた。
醤油ラーメン、850円。
体が冷えた後に食べるラーメンは、別格だ。
味がどうとかじゃなく、ただ、沁みる。
ナメワッカ岳は、山だけで終わらない。
そこまでの道中も、帰り道も、全部ひっくるめて旅になる。
そういう山だ。
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ナメワッカ岳への行き方
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