地図で見つけたとき、まず読み方がわからない。 ニシュオマナイ岳。 アイヌ語由来の名前を声に出すと、なんだか呪文みたいだ。 北海道・空知の山奥にひっそりと立つその峰は、標高1,二八二m。 有名じゃない。だからこそ、行きたくなった。
ニシュオマナイ岳のおすすめスポット
ニシュオマナイ岳登山口|静寂の中に、踏み込む緊張感
登山口に着いたのは朝6時半。
駐車スペースには車が1台もない。
完全に、一人だ。
林道を30分ほど歩いてから、本格的な登りが始まる。
整備されたルートとは言いがたい。
踏み跡を目で追いながら、慎重に足を置く。
冬に来ると、これが全部雪に埋まる。
真っ白な斜面に、自分の足跡だけが続いていく。
その景色が、頭から離れない。
静かすぎて、耳が痛いくらいだ。
風が止むと、雪の落ちる音さえ聞こえる。
「誰にも会わないだ」という不安と、
「誰にも会わなくていい」という解放感が、同時にあった。
冬山の洗礼を、ここで受けた気がする。
山頂直下の雪稜|息が白い。空が近い。それだけで十分だ
標高1,100mを超えたあたりから、木がなくなった。
視界が、一気に開ける。
目の前に広がったのは、白一色の稜線。
風に削られた雪面が、朝の光を受けてオレンジ色に輝いている。
足が重い。息が切れる。
でも止まれない。
あと少し、あと少し、と体が動いた。
山頂まで残り20分ほど。
斜度が増して、アイゼンが雪を噛む音だけが響く。
着いた瞬間、声が出ない。
十勝連峰の稜線が、全部見える。
大雪山系が、遠く霞んでいた。
誰もいない山頂で、ただ立っている。
気温はマイナス12度。
手が痛かったけど、カメラを下ろせない。
登るのに3時間かかった。
その価値は、間違いなくあった。
下山後・幾寅温泉|冷えた体に、じわじわ染み込む湯
下山したのは14時過ぎ。
足が笑っている。
南富良野町の幾寅地区に戻って、真っ先に温泉へ向かった。
「ペンケトマム自然公園」近くのかなやま湖保養センター。
日帰り入浴が500円。
脱衣所も浴場も、こぢんまりしている。
観光地感はゼロ。
地元の人しかいない。
でも、湯がいい。
ナトリウム塩化物泉。
ぬるめの湯に、ゆっくり浸かる。
指先まで冷え切っていた体が、少しずつ戻ってくる感覚。
「生きてる」。
脱衣所のロッカーは100円返却式。
営業時間は10時〜21時(最終受付20時30分)。
水曜定休。
山の後に、これがある。
それだけで、また来たくなる。
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ニシュオマナイ岳への行き方
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