地図を何度も見返した。 ニセイチャロマップ岳、という名前が頭から離れない。 北海道の奥地、大雪山系の北に位置するその山は、登山者の間でも「マニアの山」と呼ばれている。 標高1,879m。 整備された登山道はない。 それでも、行ってしまった。
ニセイチャロマップ岳のおすすめスポット
ニセイチャロマップ岳|名前の響きが、すでに非日常だ
「ニセイチャロマップ」はアイヌ語由来の地名だ。
意味を調べると、川の名前に行き着く。
その響きだけで、もう普通じゃないとわかる。
登山口は層雲峡方面から入る。
車で林道をひたすら走る。
ダートが続き、タイヤが鳴く。
冬は11月には積雪が始まる。
アプローチ自体が試練だ。
スタートは朝5時半。
ヘッドランプをつけて歩き始めた。
気温はマイナス12度。
息が白い。
それどころか、まつげが凍った。
歩き始めて3時間、稜線が見えてくる。
木々が消え、空が広がる瞬間がある。
その瞬間だけは、寒さを忘れた。
頂上からの眺めは、言葉が出ない。
360度、山しかない。
人工物がゼロ。
こんな景色、初めてだ。
林道アプローチ|山より前に、すでに旅が始まっている
登山口までの林道が、思いのほか長かった。
約15km、未舗装。
夏でもゆっくり走って40分はかかる。
冬は、そもそも車で入れない区間がある。
そこをスキーかスノーシューで歩く。
往復で加算される距離が、軽く10km超え。
体力の計算を間違えた人の話を、後で聞いた。
ただ、この林道が美しかった。
両側にエゾマツとトドマツが並ぶ。
雪が積もって、枝がしなっている。
そこに朝日が差し込んでくる。
誰もいない。
音がない。
足音と、風だけ。
こういう時間が、山旅の本質だ。
頂上に立つことだけが目的じゃない。
そこに至る道の、静けさが忘れられない。
防寒着は妥協しないほうがいい。
行動中は汗をかく。
止まると一気に冷える。
ウェアの脱ぎ着をこまめにしないと、後半きつくなる。
層雲峡温泉|山から戻る理由が、ここにある
下山後、体が限界だ。
足がガクガクして、車のドアを開ける手も震えた。
向かったのは層雲峡温泉。
登山口から車で40分ほど。
日帰り入浴を受け付けている宿が複数ある。
料金は1,000円前後が多い。
湯船に入った瞬間、声が出た。
「あ゛〜」という声が。
一人だったのに。
層雲峡の温泉は弱アルカリ性の単純温泉。
肌がつるっとなる。
外に露天風呂があって、そこから渓谷が見える。
雪が降り始めた夕方だ。
湯煙と雪が混ざっている。
川の音が聞こえる。
こういう時間のために、きつい山に登るだ。
その夜は層雲峡に泊まった。
翌朝、層雲峡の氷瀑まつりを見た。
ライトアップされた氷の柱が、青く光っている。
1月下旬から3月上旬が開催時期。
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ニセイチャロマップ岳への行き方
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