頂上まで、誰ともすれ違わない。 トレースもなく、ただ自分のラッセルだけが続く。 ニレシ岳は、北海道の中でも特別に静かな山だ。 標高1,135m。派手さはない。 でも、稜線に立った瞬間の景色が、ずっと頭から離れない。
ニレシ岳のおすすめスポット
ニレシ岳|誰も踏んでいない雪の上を、自分の足で進んでいく
登山口に着いたのは朝7時だ。
気温はマイナス12度。
吐く息が白く固まって、すぐ消えた。
林道から取り付くと、すぐに深い雪だ。
スノーシューがなければ、腰まで埋まる。
先行者のトレースはゼロ。
完全に自分だけのルートを作りながら進む。
これが、ニレシ岳の正直な姿だ。
整備された登山道ではない。
ルートは自分で読む。
ペースも自分で決める。
森を抜けるのに約2時間かかった。
樹氷がびっしりついた木々の間を、黙々と歩く。
風の音だけが聞こえる。
標高900mを超えたあたりで、木が低くなる。
視界が一気に開ける。
その瞬間のことは、うまく言葉にできない。
ただ、足が止まった。
稜線の景色|270度の白が、静かに広がっている
頂上直下の稜線に出たのは、登り始めて4時間後。
風が急に強くなった。
マイナス20度近い体感温度だ。
でも、そこにあった景色のせいで、寒さを忘れた。
十勝平野が、白く広がっている。
日高山脈が、端から端まで見渡せた。
トムラウシ方面の稜線も、くっきり見える。
人工物が、何もない。
音も、ほとんどない。
風と自分の息だけがある。
こういう景色は、他の山ではなかなか会えない。
ロープウェイでも、リフトでも来られない場所だからこそ、
これだけ静かなのだ。
頂上には15分いた。
それ以上いると、体が限界になる。
写真を撮って、すぐ下山を始めた。
名残惜しかった。
新得の拠点づくり|下山後の温泉が、すべてを癒してくれた
下山後、体は正直だ。
膝が笑い、指の感覚がなくなっている。
新得町に戻り、向かったのは「新得温泉」だ。
大人500円。
地元の人ばかりの、こじんまりした施設だ。
湯船に沈んだ瞬間、全身から力が抜けた。
これがあるから、ハードな山に来られる。
夕食は新得の蕎麦にした。
新得は蕎麦の産地として知られている。
登山後の体には、シンプルなものが一番刺さる。
宿は新得駅前の小さな旅館を使った。
1泊朝食付きで約7,500円。
翌朝5時に起きても、体がちゃんと動いた。
ニレシ岳は、日帰りでも行ける。
でも、前泊して体を整えてから登る方が確実だ。
山が本気の分、こちらも本気で準備した方がいい。
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ニレシ岳への行き方
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