北海道の内陸部、遠軽町の山あいに、その湯はある。 観光地らしい派手さは何もない。 でも、それがいい。 冬に訪れると、雪に埋もれた針葉樹の森と、湯気だけが静かに立ちのぼっている。 ここに来る人は、たいてい「疲れた人」だ。 そして帰るとき、少しだけ軽くなっている。
丸瀬布温泉のおすすめスポット
丸瀬布温泉やまびこ|雪の夜、誰もいない露天風呂で空を見上げた
チェックインは15時。
まだ明るいうちに荷物を置いて、すぐ露天風呂へ向かった。
泉質はナトリウム-塩化物泉。
ぬるっとした肌触りで、入った瞬間から体の芯に染み込んでくる感じがある。
気温はマイナス10度近かった。
湯気が白く渦を巻いて、空に消えていく。
頭が冷たくて、体だけ熱い。
あの感覚、冬の北海道でしか味わえない。
夜9時ごろ、もう一度入りに行った。
誰もいない。
満天とまではいかないけれど、星がいくつか見える。
ただそれだけのことが、妙に心に残っている。
内風呂も広くて、源泉かけ流しの湯が常にあふれている。
加水なし、加温なし。
本物の湯というのは、こういうことだ。
日帰り入浴は600円。
地元の人が普通に使いに来る。
そういう温泉が、やっぱり信頼できる。
いこいの森公園・蒸気機関車雨宮21号|森の中を走るSL、冬は静かに眠っている
温泉から歩いて10分もかからない場所に、蒸気機関車が走る森林公園がある。
夏は実際に乗れるらしい。
冬に行くと、SLは雪の中で静かに止まっている。
でも、それがよかった。
誰もいない。
音がない。
線路の上に雪が積もっている。
ここで子どもたちが歓声を上げる夏の光景を、なんとなく想像した。
そのギャップが面白い。
雨宮21号は1929年製。
90年以上前の機関車が、今も現役で走っているという事実がすごい。
公園内には資料館もあって、無料で見られる。
30分もあれば十分回れる規模。
でも、森の静けさだけで来た価値があった。
冬はひと気が少なく、雪の森を独り占めにできる。
気温が低いと息が白くなって、それだけで非日常感がある。
防寒はしっかりしていくこと。
足元は特に。
丸瀬布の街歩き|何もない、というのは嘘だ
丸瀬布は小さな町だ。
目抜き通りを端から端まで歩いて、10分かからない。
コンビニはない。
大型チェーン店もない。
でも、商店が数軒あって、地元の人がふつうに買い物をしている。
昼ごはんはその商店横の食堂で食べた。
ラーメン750円。
北海道の醤油ラーメンは、本当に何度食べても飽きない。
JR丸瀬布駅も見に行った。
ホームに人は誰もいない。
1日の本数が片手で数えられる路線。
それでも駅舎は丁寧に維持されている。
夕暮れ時に駅前を歩いていたら、地元のおじさんに話しかけられた。
「どこから来たの」と。
東京から、と答えたら「えらい遠くから」と笑っている。
こういうやりとりが、旅の記憶に残る。
派手なスポットより、ずっと長く。
街歩きに特別なルートはいらない。
ただふらっと歩いて、目についたものを眺めればいい。
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丸瀬布温泉への行き方
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