フェリーを降りた瞬間、利尻山がそこにいた。 雲ひとつない冬の空に、白く積もった頂が突き刺さっている。 島の空気は冷たくて、鋭くて、少し痛い。 そんな体が芯から冷え切ったとき、温泉の存在がじわりと効いてくる。 利尻ふれあい温泉は、そういう場所だ。
利尻ふれあい温泉のおすすめスポット
利尻ふれあい温泉|あの山を見ながら、体がほどけていく
入浴料は600円。
フロントで料金を払って、脱衣所に向かう。
建物自体は大きくない。
でも窓の外に広がる景色が、すべてをひっくり返す。
湯船に浸かると、正面に利尻山が見える。
雪をかぶった山頂が、湯気の向こうにぼんやり浮かんでいる。
この眺めのために来た。
お湯はナトリウム塩化物泉。
ぬるっとした感触が肌に残る。
体の芯からじわじわ温まる感じで、フェリーの甲板で冷えた骨まで戻ってくる気がした。
平日の午後2時ごろに入ったら、地元のおじさんが2人いるだけだ。
観光客でごった返している感じはまったくない。
島の人たちの日常に、少しだけ混じれた気がした。
露天風呂もある。
外気はマイナス近いのに、湯温が高いから全然寒くない。
むしろ頭が冷えて気持ちいい。
冬の利尻でしか味わえない感覚だ。
鴛泊港周辺の冬の街歩き|人がいない分だけ、島が見える
温泉の前後に、港周辺を歩いた。
冬の鴛泊は静かだ。
夏は観光客でにぎわうらしいが、2月はほぼ地元の人しかいない。
商店の半分はシャッターが閉まっている。
でもそれが寂しいというより、島の本音を見ている感じがした。
港に出ると、利尻山が正面にある。
写真で何度も見た構図が、そのまま目の前にある。
スマホを出すのも忘れて、しばらく立っている。
雪が積もった道路を歩くと、長靴が必要だと痛感する。
防水のトレッキングシューズで来たが、それでも足先が冷えた。
冬に来るなら、靴だけは妥協しないほうがいい。
ペシ岬への遊歩道は冬季閉鎖中だ。
残念だったが、代わりに夕暮れ時の港から見た山が忘れられない。
オレンジ色の光が雪面に反射して、山全体が燃えているみたいだ。
5分足らずで消えた。
そのためだけに、また来てもいいと思っている。
島の食堂で食べた夜|ウニは夏だけじゃない
温泉上がりに夕食を探した。
冬は営業している店が少ない。
港近くの食堂に飛び込んだ。
頼んだのはタコのから揚げ定食、900円。
メニューにウニはない。
それはそうだ、冬だから。
でも、タコがうまかった。
外はカリッと、中はもちっと。
東京で食べるタコとは別物だ。
隣のテーブルのおじさんが話しかけてきた。
「冬に来る観光客なんてめずらしい」と言っている。
そして「だからこそ島が見えるんだよ」とも。
利尻昆布を使った出汁の味噌汁が、体に染みた。
600円の温泉と900円の定食と、おじさんの一言。
その夜の利尻は、それで十分すぎた。
夏のウニ丼を目的に来る人が多いのはわかる。
でも冬にしか会えない島の顔が、確かにある。
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利尻ふれあい温泉への行き方
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