マイナス20度の朝、登山口に立った。 息を吸うたびに肺が痛い。 それでも、足が止まらない。 十勝岳は、北海道の中でも別格の山だ。 標高2077メートル。今も噴煙を上げる活火山。 雪と火山岩と白銀の稜線が、ここにしかない景色をつくっている。 来るまでは怖かった。でも来てよかった、と心の底から思った。
十勝岳のおすすめスポット
十勝岳登山道|白煙が上がる山の、圧倒的な静けさ
望岳台を出発したのは朝7時。
気温はマイナス18度だ。
防寒装備をフル装備しても、頬に刺さる風が容赦ない。
歩き始めて30分、視界が開けた。
眼下に広大な雪原。
遠くに大雪山の稜線。
言葉が出ない。
山頂付近では噴気孔から白い煙が漏れている。
硫黄の匂いがかすかにする。
生きている山に登っているんだと、体で理解した。
冬の十勝岳は、登山経験者向けだ。
アイゼンとピッケルは必須。
ホワイトアウトになると即座に危険になる。
それでも、リスクを承知で来る人が後を絶たない理由がわかった。
ここには、整備された観光地では絶対に出会えない何かがある。
荒削りで、容赦なくて、美しい。
そういう山だ。
望岳台|何もないからこそ、全部が見える場所
登山口でもある望岳台は、標高930メートルにある。
ここだけでも、十分すぎるほどの景色がある。
駐車場から歩いて5分。
視界を遮るものが何もない展望台に出る。
冬は一面の雪原が広がっている。
風が強く、雪煙が舞い上がっている。
遠くに見える十勝岳の山頂は、雲の中に半分消えている。
それでも美しかった。いや、そっちの方が美しかった。
夏に来た友人は「お花畑が広がる」と言っている。
春は残雪と新緑のコントラストが見事らしい。
季節ごとに全く違う顔を見せる場所だ。
早朝6時ごろに来ると、富良野盆地に雲海が広がることがある。
その日は運よくそれが見られた。
震えながら、しばらく動けない。
十勝岳温泉 凌雲閣|登山後の体に、湯が染みる
標高1280メートルにある温泉宿。
日本最高所クラスの温泉のひとつだ。
下山後、体の芯まで冷えた状態で暖簾をくぐった。
フロントのスタッフが「お疲れ様です」と言ってくれた。
その一言だけで、泣きそうになった。
温泉は茶褐色の濁り湯。
露天風呂に入ると、目の前に十勝岳が広がる。
湯から上がる湯気の向こうに、さっきまで歩いていた稜線が見える。
日帰り入浴は大人800円。
タオルは持参が安心。
シャンプーや石けんの備え付けはない。
宿泊すると、夜の星空が圧巻らしい。
周囲に光源がほとんどない。
次は泊まりで来ようと、風呂の中で決めた。
売店で買った豚まんが、異常においしかった。
体が温まるものは、全部おいしく感じる。
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十勝岳への行き方
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