網走湖のほとりに、その神社はひっそりとある。 観光地図にも載っていない。 誰かに教えてもらわないと、たどり着けない場所だ。 湖面からの風が、鳥居をくぐる前から頬に触れる。 静かすぎて、自分の足音が少し恥ずかしくなる。 そんな神社が、北海道の東の端に存在する。
呼人神社のおすすめスポット
呼人神社|湖畔の風が、参道を通り抜けていく
呼人という地名を、読める人は少ない。
「よびと」と読む。
網走市の南側、網走湖に面した小さな集落だ。
神社に向かう道は舗装されていない部分もある。
車を降りた瞬間、空気が変わった気がした。
木々の密度が急に高くなる。
参道はおそらく50メートルほど。
長くはない。
でも、歩くたびに湖の気配が増してくる。
拝殿は小さく、古い。
修繕した跡もあるけれど、飾り気がない。
観光向けに整えられた神社じゃないことが、すぐわかる。
ここに来る人は地元の人がほとんどだろう。
訪れた平日の午前10時、誰ともすれ違わない。
静寂がこれほど心地よいのは、久しぶりだ。
湖の方向から鳥の声だけが届いてくる。
それだけで、十分だ。
網走湖の眺望|神社の先に広がる、水平線のような湖面
神社を参拝した後、湖岸まで歩いてみた。
5分もかからない。
網走湖の広さは、実際に見るまで実感できない。
面積は約32平方キロメートル。
北海道の湖の中では中規模だけれど、目の前に立つと別の話だ。
対岸がかすんで見える。
水の色がグレーがかっていて、北の湖らしい重さがある。
11月に訪れたとき、湖面には風紋が走っている。
冬が近い証拠だ。
気温は5度を下回っている。
でも、寒さが不快じゃない。
澄んだ空気と、視界を遮るものが何もない開放感が、体を軽くする。
夏なら湖畔でワカサギ漁の船が出ているのを見られることもある。
冬になると湖が全面結氷し、ワカサギの穴釣りで賑わう。
その季節とはまったく別の顔だ。
神社と湖をセットで訪れる人は少ない。
でも、この景色を見ずに帰るのはもったいない。
呼人浦キャンプ場|湖のすぐ隣で、朝を迎える贅沢
神社から歩いて10分もかからない場所に、呼人浦キャンプ場がある。
ここがまた、良い。
湖岸に直接面した区画があって、テントから網走湖が見える。
そういうサイトは予約が取りにくいのだけれど、平日なら狙える。
料金は大人1人520円。
シャワーや炊事場もある。
キャンプ場としての設備は最低限だが、不便は感じない。
ここで朝を迎えたことがある。
6時ごろ、湖に霧が出ている。
白い靄の中に、鳥の影が浮かんでいた。
カメラを出す前に、しばらく眺めている。
網走市内の観光スポットは車で15〜20分圏内に集中している。
博物館網走監獄、能取湖のサンゴ草、天都山の展望台。
そのすべてを回る拠点としても、このキャンプ場は使い勝手がいい。
観光客が素通りする場所で、最高の朝があった。
そういう旅が、好きだ。
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呼人神社への行き方
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