霧の中から、島が浮かびあがる。 根室から見える、あの稜線。 ずっと「近くて遠い島」だ。 でも実際に渡ってみると、そこには別の時間が流れている。 手つかずの自然と、複雑な歴史が、ひとつの島に重なっている。 そういう場所には、言葉にしにくい引力がある。
国後島のおすすめスポット
爺爺岳|雲の上に出たとき、世界が変わった
標高1822m。
北方四島で最も高い山だ。
麓から見上げると、頂上は雲に隠れている。
それでも歩き始める。
登山道というより、獣道に近い。
足元は湿っていて、笹が顔にかかる。
2時間ほど登ったところで、雲を抜けた。
そのとき、息が止まった。
オホーツク海が、どこまでも広がっている。
風が強くて、声が出ない。
頂上付近には高山植物が群生している。
6月から7月はメアカンキンバイやエゾコザクラが咲く。
これほど人の少ない山頂を、これまで知らない。
ガイドなしでの単独登山は難しい。
現地手配のガイドツアーは1人あたり約5000円〜。
所要時間は往復で5〜6時間を見ておきたい。
古釜布|ソ連の面影と、今の暮らしが混在する町
島の中心地、古釜布(ふるかまっぷ)。
ロシア語では「ユジノクリリスク」と呼ばれている。
通りに出ると、キリル文字の看板が並ぶ。
食料品店に入ってみた。
ルーブルで買い物をした。
棚には缶詰、パン、ウォッカ。
品ぞろえは少ないが、生活の匂いがする。
建物はソ連時代のコンクリートのままのものが多い。
窓枠が傾いていたり、壁が剥がれていたりする。
でも洗濯物が干してあって、子どもの声がする。
人が暮らしている、という当たり前のことが、妙に胸に刺さった。
町の丘の上には戦勝記念塔がある。
眼下に集落と港が見渡せる。
ここで30分、ただ海を見ている。
そのうち、地元の老人が隣に座ってきた。
言葉は通じないけれど、しばらく並んで海を見た。
セルノエ湖|人がいない湖で、野生に出会う
古釜布から車で40分ほど。
舗装されていない道を揺られていく。
着いたのは、森の奥にある湖だ。
静かすぎて、少し怖かった。
水面は鏡のように平らで、針葉樹が映り込んでいた。
湖畔に立ってしばらくすると、鳥の声だけが聞こえる。
国後島にはエゾシカも多い。
湖の周辺で、2頭が草を食んでいるのを見た。
10mくらいの距離だ。
向こうは逃げない。
こちらも動けない。
そのまま1分ほど、見つめ合った。
この島には、そういう時間がある。
計画できない、偶然の静止。
ツアーによっては湖でのカヌー体験が含まれるものもある。
半日で約2000〜3000ルーブルが目安。
夏の朝8時ごろが、もっとも霧が美しい時間帯だ。
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国後島への行き方
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