国道から外れて、細い道を奥へ奥へと進む。 気づけば人工物がひとつもない景色になっている。 奥美利河温泉は、そういう場所だ。 北海道の山の中、ひっそりと湯けむりを上げている。 冬は雪に埋もれ、辺りは完全に静寂に包まれる。 そこに飛び込む感覚が、やみつきになる。
奥美利河温泉のおすすめスポット
奥美利河温泉露天風呂|雪の中で、体の芯から溶けていく
脱衣場で服を脱いだ瞬間、冷気が全身を刺す。
気温はマイナス10度近かった。
それでも足が止まらない。
湯船まで数歩。その間だけ寒い。
浸かった瞬間、声が出た。
熱い、というより、ぬるめで長く入れるタイプの湯だ。
ナトリウム・カルシウム塩化物泉。
とろりとした感触が肌に残る。
露天は川沿いにある。
目の前の美利河川が、冬は半分凍りかけている。
雪が音もなく降っていて、湯船から空を見上げると
白い粒が顔に当たってくる。
熱い体と冷たい雪。この対比が気持ちよすぎて
1時間以上出られない。
内湯も広くて清潔で、家族風呂もあった。
日帰り入浴は500円。安すぎる。
美利河ダム・ポッケ遺跡周辺|氷に閉じ込められた、縄文の気配
温泉から車で5分ほど走ると、美利河ダムがある。
冬は湖面がほぼ凍っている。
白と灰色の世界。
人がひとりもいない。
この周辺は実は縄文遺跡の密集地帯だ。
ポッケ遺跡という名前が妙に耳に残る。
ダム建設の前に発掘調査が行われ、
縄文時代の竪穴式住居跡が複数見つかった場所だ。
今は水の底に沈んでいる。
凍った湖面を眺めながら、その事実を思い出した。
何千年も前に、ここで人が暮らしている。
火を焚いて、獲物を捕って、生きている。
それがいまは氷の下にある。
観光地でもなんでもない。
案内板が一枚立っているだけだ。
でもその静けさが、逆にリアルだ。
冬に来ないと見られない景色が、ここにはある。
今金町の食堂・農家食|町の人が普通に食べているものを食べる
奥美利河から国道に戻ると、今金町の中心部まで20分ほど。
「今金男しゃく」というブランドじゃがいもが有名だ。
スーパーに普通に売っている。
1袋300円くらいで買えた。
昼ごはんは町内の食堂で定食を食べた。
じゃがいも、豚肉、地元野菜。
派手さは何もない。
でも汁まで飲み干した。
温泉帰りの空腹には、こういう飯がいちばんしみる。
冬の今金町は観光客がほとんどいない。
コンビニも限られている。
食事は計画して動いた方がいい。
逆に言えば、地元の人の生活の中にそのまま入り込める。
観光用に作られた顔がない町だ。
それが心地よかった。
じゃがいもを土産に買って帰ったら
東京の友人に「どこで買ったの」と聞かれた。
ここでしか買えない、と答えた。
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奥美利河温泉への行き方
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