雪が深く積もった朝、誰も踏んでいないトレースを見つけた。 北海道・恵庭市の外れに、島松山という低山がある。 標高は低い。でも、冬のここは別格だ。 樹氷に包まれた森が静かに広がっていて、自分だけが迷い込んだような感覚になる。 派手な観光地じゃない。だからこそ、刺さる景色がある。
島松山のおすすめスポット
島松山|誰もいない雪の森に、踏み込んでいく
登山口に着いたのは朝8時ごろだ。
駐車場には1台も車がない。
標高は約321m。
コースタイムは往復で2時間かからない。
体力的にはそれほどきつくない。
でも、冬は別の話になる。
雪が膝近くまで積もっている日もある。
トレースがあれば助かるが、新雪後は自分でラッセルすることになる。
スノーシューを持ってきてよかったと、10分で実感した。
森の中は異様なほど静かだ。
風の音もしない。
自分の息の音だけが聞こえる。
木々に雪がびっしりと着いている。
触れると、ふわっと崩れる。
その繰り返しを眺めながら登っていくのが、妙に楽しかった。
山頂手前で視界が開ける瞬間がある。
支笏湖方面の稜線が見えたとき、思わず立ち止まった。
こういう景色に、名前はいらない。
山頂の眺め|低山なのに、空が広すぎた
山頂に着いたのは登り始めから約50分後。
思ったより早かった。
視界が一気に開けた。
恵庭岳、支笏湖の水面、遠くに樽前山のシルエット。
低山なのに、見渡せる範囲が広い。
晴れていれば、札幌方向の街並みも見える日がある。
この日は気温がマイナス8℃だ。
風が出てくると体感はもっと下がる。
アウターの中に防寒をしっかり重ねてきてよかった。
山頂は広くない。
岩と雪が混ざったような場所に、小さな標識が立っている。
特別なものは何もない。
でも30分くらい、ただそこに立っている。
景色というより、空気ごと吸い込む感じがあった。
冬の北海道の山の匂いは、松と雪が混ざった独特のもので、これだけで来た甲斐がある。
下山はあっという間だ。
往復で2時間かからない。
もっと時間があったら、ゆっくり登ればよかった。
下山後の恵庭|温泉と食で、体が戻ってくる
下山して車に戻ったとき、足の感覚がなくなっている。
それくらい冷えている。
すぐに恵庭市街に向かった。
登山口から車で約20分。
恵庭温泉「ほのか」に入った。
大人1人、平日だと750円前後。
露天風呂に浸かったとき、全身に血が戻ってくる感じがした。
あの感覚は、寒い山に登ってきた人間しか味わえない。
その後、市内の定食屋で遅めの昼食をとった。
豚丼が900円だ。
量が多い。
北海道の普通の食事のレベルが、なんでこんなに高いのかいつも不思議になる。
恵庭は花の街としても知られているが、冬はただ静かな町だ。
それがよかった。
観光客向けに整備されすぎていない場所で、山に登って、温泉に入って、飯を食う。
それだけの旅だったが、妙に満足感が高かった。
次は春の雪解けのタイミングで来ようと思っている。
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島松山への行き方
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