函館から車で40分。 国道278号を南下すると、急に山の気配が濃くなる。 川汲温泉は、看板も目立たない。 でも着いた瞬間にわかる。 ここは、本物の湯治場だ。 硫黄の匂いと静寂が、都市の疲れを一枚ずつ剥がしていく。 冬に来て、正解だ。
川汲温泉のおすすめスポット
川汲温泉|硫黄の湯煙が、静かに迎えてくれた
源泉温度は約47℃。
ナトリウム・カルシウム塩化物泉で、肌にじんわりと染みる。
内湯は小ぶりだけど、それがいい。
誰かと肩を並べて入るような、昔ながらの湯船。
週末でも地元の人がぽつりぽつり来るだけで、混雑とは無縁だ。
湯の色は薄く濁った黄金色。
浸かって3分で、体の芯から熱くなってきた。
「あ、これが本物の温泉か」。
露天はない。
シャンプーも置いていない施設もある。
でも余計なものがないぶん、湯だけに集中できる。
入浴料は400〜500円前後。
1時間でも、2時間でも、気づいたらいられた。
冬の川汲は、雪が積もると静寂がさらに深くなる。
湯から上がって外に出ると、冷気が肌に気持ちいい。
この落差がたまらない。
川汲川沿いの散策路|雪道に足跡をつける、それだけでいい
温泉の目の前を、川汲川が流れている。
冬は川岸が雪で覆われて、自分以外の足跡がない。
舗装もされていない。
案内板もほぼない。
でも10分も歩けば、函館近郊とは思えない景色になった。
針葉樹が両岸に立ち並んで、川の音だけが聞こえる。
鳥の気配はあるのに、鳴き声がしない。
あの静けさは、ちょっと特別だ。
長靴か防水シューズは必須。
雪の日は足首まで埋まった。
それでも30分ほど歩いて、体がほどよく冷えたところで温泉に戻る。
このループが最高だ。
観光地らしさは皆無。
でも「自然の中にいる」という実感は、どこのテーマパークより強かった。
地元の猟師らしき人とすれ違い、軽く会釈をした。
そのやりとりが、なんかよかった。
川汲番屋の湯|湯上がりに飲む牛乳、それが全部だ
川汲エリアに数軒ある温泉施設のなかで、番屋の湯は地元の常連が多い。
受付のおばちゃんが「今日は空いてるよ」と言ってくれた。
そのひと言で緊張が解けた。
脱衣所の棚は木製で、鍵もない。
財布はカゴに入れておく。
誰も盗まない空気がある。
湯船は2槽。
熱めと、ぬるめ。
ぬるめに20分浸かると、体が溶けるか。
湯上がりに瓶牛乳を飲んだ。
150円だ。
外は雪で、暖房の効いたロビーで牛乳を飲むだけで、なぜかじんときた。
旅の疲れじゃなくて、ちゃんと旅してるな、という感覚。
施設はボロくない、でも新しくもない。
そのくらいの塩梅が、ここには合っている。
函館から日帰りで来て、3時間いた。
夕方に帰る車の中、体がずっとポカポカしている。
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川汲温泉への行き方
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