稜線の向こうに、何もない。 ただ白い世界が広がっている。 忠別岳は、大雪山系の奥深くにある。 トムラウシへと続く縦走路の途中に、その頂がある。 アクセスも、道も、楽ではない。 それでも足が向く。 あの静けさを、もう一度味わいたくて。
忠別岳のおすすめスポット
忠別岳|雪の稜線に立つと、世界の端まで見えた気がした
標高1963m。
大雪山の中でも、どこか地味な存在として語られる山だ。
でも実際に立ってみると、その印象は完全に覆る。
旭川からアサヒヒュッテを経由して入山した。
登山口から忠別岳山頂まで、コースタイムで約8時間。
甘くない距離だ。
冬は特別だ。
足首まで埋まるラッセルが続いた。
気温はマイナス15度を下回っている。
でも稜線に出た瞬間、そんなことはどうでもよくなった。
トムラウシ山が正面に見える。
右手には旭岳。
左には化雲岳の稜線。
360度、どこを向いても人工物がひとつもない。
ここまで来ないと見られない景色というものがある。
忠別岳の山頂は、まさにそれだ。
風が強くて、5分も立っていられなかったけれど。
その5分は、忘れられない時間になった。
忠別沼|山頂手前に現れる、鏡みたいな水面
忠別岳の山頂直下に、忠別沼がある。
標高約1800m。
高山植物が咲く夏は別として、冬はすべて雪と氷に閉ざされる。
初めて見たとき、そこに沼があるとは気づかない。
ただの雪原に見える。
同行したガイドに「あそこが沼です」と言われて、初めてわかった。
夏に再訪したとき、その印象は全然違った。
空の青が、そのまま水面に落ちている。
風がない日の朝、6時ごろに通過した。
鏡のように静止した水面と、奥に見える山の稜線。
この構図は、ここでしか見られない。
縦走路を歩く人の多くが、この場所で立ち止まる。
写真を撮って、また歩き出す。
そのサイクルが、なんとなく好きだ。
誰も喋らない。
喋る必要がない。
天人峡温泉|下山後に入る湯の、ありがたさたるや
下山して最初にしたこと。
靴を脱いで、温泉に直行した。
天人峡温泉は、忠別岳への登山口に最も近い温泉地だ。
旭川市内から約80km、車で1時間20分ほど。
渓谷沿いに宿が数軒ある。
泊まったのは「天人峡温泉 御やど しきしま荘」。
1泊2食で1万5000円前後だ。
部屋は古い。
でも湯は本物だ。
ナトリウム・カルシウム塩化物・炭酸水素塩泉。
体の芯から温まる系の湯だ。
8時間歩いた脚を湯に沈めたとき、声が出た。
思わず「あ」と言った。
翌朝、窓から渓谷が見える。
羽衣の滝も歩いて行ける距離にある。
落差270mと言われているが、実際に見ると数字じゃわからない迫力だ。
山と温泉と滝。
この一帯に、無駄なものが何もない。
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忠別岳への行き方
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