真っ白な稜線が、空に突き刺さっている。 斜里岳は、オホーツク海側からはっきり見える独立峰だ。 冬になると、その輪郭がさらに鋭くなる。 「あの山に登りたい」と思ったのは、車窓から眺めた瞬間だ。 標高1,547m。決して高くはない。 でも、この山には他にはない何かがある。
斜里岳のおすすめスポット
斜里岳 冬の全景|オホーツクの空気が、山を研ぎ澄ます
清里町の道の駅から見上げた。
雪をまとった斜里岳が、正面にどんと構えている。
周囲に遮るものが何もない。
だから存在感が違う。
冬の朝、気温はマイナス15度を下回ることもある。
吐く息が白く、すぐに凍る感覚があった。
地元の人に「今日の山、きれいですよ」と言われた。
それだけで十分だ。
山の表面に張り付く雪が、朝日を受けてオレンジに染まる。
その時間はほんの10分くらいだ。
見逃したくなくて、5時半には外に出た。
冬の斜里岳は、登るより「見る」山だ。
でもその景色は、登った山と同じくらい記憶に残っている。
知床連山も遠くに見える。
オホーツクの空の青さが、異常なほど澄んでいた。
清岳荘登山口|雪の中の静寂、ここから始まる
夏山シーズンの登山口となる清岳荘。
冬はひっそりと雪に埋まっている。
標高約720m地点にある。
市街からの林道は冬期閉鎖されるため、手前から歩くことになる。
往復で追加2〜3時間はかかると思っていい。
静かだ。
風の音だけが聞こえる。
足元のパウダースノーが、踏むたびにキュッと鳴く。
その音が妙に心地よかった。
冬の斜里岳に挑む人は少ない。
トレースがないことも多い。
ルートファインディングの経験と、しっかりした装備が要る。
山頂までは夏道で約3時間。
冬は倍近くかかる。
それを知った上で入山した。
引き返す判断も大事な山だ。
稜線に出た途端、風が変わった。
視界が一気に狭まる瞬間があった。
山の本気を、少し見た気がした。
清里温泉|登山後の体を、一気に溶かしていく
山から下りたあと、体の芯が冷えている。
指先の感覚がない。
清里温泉に向かった。
「緑清荘」という町営の温泉施設だ。
料金は大人500円。
湯は茶褐色。
ナトリウム・炭酸水素塩泉で、とろみがある。
湯船に沈んだ瞬間、声が出た。
外には露天風呂があった。
雪が降っている。
それでも外に出た。
白い湯けむりの向こうに、斜里岳のシルエットが見える。
登ってきた山を、温泉に浸かりながら見上げる。
なんだかおかしくて、笑ってしまった。
この温泉がなければ、冬の斜里岳はもっとつらい旅になっている。
体が溶けたあとは、食堂で豚汁を頼んだ。
300円だ。
それが一番うまかった。
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斜里岳への行き方
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