標高1100メートル。 リフトも街灯もない。 あるのは雪と、湯気と、静寂だけ。 旭岳温泉は、北海道の中でも特別に「遠い」場所だ。 旭川市街から車で1時間ちょっと。 それでも毎年ここに戻ってくる。 白い山が、人をそうさせる。
旭岳温泉のおすすめスポット
旭岳ロープウェイ|雲の上に出た瞬間、言葉がなくなった
乗車時間は10分。
それだけで標高1600メートルまで連れて行かれる。
冬の山頂駅を降りると、風がまず顔に来る。
痛い、というより鋭い。
マイナス15度の世界に、観光客の声が消える。
眼下に広がるのは、原始ヶ原の白い平原。
旭岳の山頂は、雲に半分隠れている。
「あそこまで登る人がいる」と思ったら、
スキー板を担いだ人がさっさと歩いている。
展望台に立って気づく。
ここは観光地じゃなくて、山だ。
整備された遊歩道はあるが、冬は完全な雪原。
アイゼンなしでは5分で沈む。
道具を借りてから来るのが正解だ。
帰りのロープウェイを待ちながら、
湯気の上がる地獄谷を見下ろした。
火山の息遣いが、足元から伝わってくる気がした。
姿見の池周辺散策|誰もいない雪道を、ただ歩いた
ロープウェイ山頂駅から、姿見の池までは徒歩30分ほど。
夏は観光客で賑わう遊歩道も、
冬は別世界になる。
スノーシューを借りた。1時間800円。
最初の10分で、借りて正解だと分かった。
膝まで積もった雪が、ふわりと受け止めてくれる。
風が止んだ瞬間、完全な無音になった。
自分の呼吸音だけが聞こえる。
こんな静けさは、都市では絶対に手に入らない。
池は当然、全面凍結している。
真っ白な鏡の上に、旭岳が映り込んでいた——
わけじゃなく、ただの雪原だ。
それでも十分すぎるくらいに美しかった。
帰り道、硫黄の匂いが濃くなる場所がある。
地面から蒸気が吹き出している噴気孔だ。
触りたくなるが、やめた方がいい。
本当に熱い。
旭岳温泉の湯|骨まで溶けるとは、こういうことか
旭岳温泉街は、ホテルが数軒並ぶだけの小さな集落だ。
コンビニはない。
自販機が数台あるだけ。
夜9時を過ぎると、静まり返る。
そこで入る温泉が、とにかくいい。
泉質は単純硫黄泉。
つるっとした肌触りで、色は透明に近い薄白。
露天風呂に入った夜、外気はマイナス10度だ。
お湯から出た肩が、みるみる白くなっていく。
そのまま空を見上げると、雲の切れ間から星が見える。
温泉宿の料金は1泊2食付きで15,000円前後から。
シーズン中は早めの予約が必要だ。
日帰り入浴は1,000円前後で受け付けている宿もある。
山から戻って、体を芯まで温める。
旭岳温泉の旅は、このセットで完成する。
風呂上がりのビールが、異常においしかった。
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旭岳温泉への行き方
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