虻田郡の奥に、静かな山がある。 標高1045m。名前は昆布岳。 派手な観光地でも、有名な絶景スポットでもない。 でも冬の昆布岳には、ここにしかない空気があった。 踏み跡のない雪。羊蹄山がくっきり見える山頂。 「こんな場所があったのか」と、声が出た。
昆布岳のおすすめスポット
昆布岳登山道|雪の重さが、静寂を作っている
登山口に着いたのは朝7時半。
気温はマイナス8度だ。
駐車場に車は2台だけ。
冬の平日、それが普通らしい。
登山道に入ると、すぐに音が消える。
風もない。鳥の声もない。
雪に吸われて、世界が静かになっていく。
コースタイムは往復で約5〜6時間。
急登はそれほどないが、雪が深い日は体力を削られる。
この日は膝上まで積もっている。
スノーシューを持っていって正解だ。
なければ、途中で引き返している。
標高が上がるにつれ、木の雪がどんどん重くなる。
枝がしなって、白い塊が落ちてくる。
頭に直撃して、笑った。
誰もいない雪山で、ひとりで笑っている。
そういう時間が、たまらなく好きだ。
昆布岳山頂|羊蹄山が、ただそこにあった
山頂に出た瞬間、視界が開いた。
木々がなくなって、空だけになる。
そしてその空の向こうに、羊蹄山。
大きかった。
こんなに大きく見えるとは思っていない。
快晴の日の羊蹄山は、完璧な円錐形をしている。
雪をまとって、静止している。
言葉を探したが、何も出てこない。
山頂の標高は1045m。
そこまで高くはない。
でもこの角度、この距離感で羊蹄山を見られる場所は、ほかにない。
風が出てきた。
マイナス15度近くまで体感温度が下がった。
カップラーメンを作ろうとしたが、お湯がすぐ冷めた。
それでもうまかった。
30分ほど山頂にいた。
指先の感覚がなくなる前に、下山を始めた。
帰りの雪道は、来た時より輝いて見える。
洞爺湖温泉|体の芯まで、溶けていく
下山後は洞爺湖温泉へ向かった。
登山口から車で40分ほど。
体が冷えきっている。
指も、足先も、まだ感覚が戻っていない。
宿の日帰り入浴を使った。
料金は800円。
タオルは持参した。
湯船に入った瞬間、全身がじんじんした。
熱いのか、痛いのか、わからない。
しばらくそのまま動けない。
洞爺湖温泉の泉質はナトリウム-炭酸水素塩泉。
とろっとした感触で、肌がすべすべになる。
窓の向こうに洞爺湖が見える。
夕方になって、空が橙色に染まっている。
朝に見た雪山と、今見ている湖。
同じ日の景色とは思えない。
温泉を出て、駐車場に立った。
体がポカポカしている。
来てよかった、とまた思った。
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昆布岳への行き方
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