硫黄の匂いが鼻をつく。 白い湯気が地面から漏れ出している。 「有毒」という名前に怖気づいたが、来てよかった。 北海道の大地はここまで剥き出しになる。 人を拒むような荒涼とした景色の中に、温泉がある。 そのギャップが、忘れられない。
有毒温泉のおすすめスポット
有毒温泉源泉地帯|踏み込んだ瞬間、地球の息遣いが聞こえる
足元が、ぼこぼこと動いている気がした。
錯覚じゃない。
実際に地面のあちこちから蒸気が噴き出している。
硫黄濃度が高く、長居は禁物だと地元の人に言われた。
「15分以上いると頭が痛くなる」と。
実際に10分ほどで喉がイガイガしてきた。
危険な場所なのに、美しい。
それがずっと頭から離れない。
地面は黄色と白で斑になっていて、
近くの草木はすっかり枯れている。
生命を拒む場所なのに、なぜか引き寄せられる。
観光客はほとんどいない。
この静けさも含めて、ここの正体だ。
到着は午前10時頃がいい。
光が斜めに入って、蒸気が白く輝く。
硫黄山(アトサヌプリ)|名前より先に、匂いがやってくる
駐車場に着く前から、もう匂っている。
硫黄の、あの独特の刺激臭。
窓を閉めていても関係ない。
硫黄山はアイヌ語で「アトサヌプリ」。
裸の山、という意味らしい。
確かに、木が一本もない。
岩肌がそのまま剥き出しで、山というより傷口みたいに見える。
遊歩道は整備されているが、
噴気孔のすぐそばまで近づける。
温度は100度を超えているという。
1メートル先で、地球が沸騰している。
売店では硫黄山で蒸した温泉卵が売っている。
1個120円。
黄身がねっとりしていて、甘みが強かった。
こんな場所で食べる卵が、なぜこんなに美味しいのか。
滞在時間は30〜40分で十分だが、
時間を忘れてぼーっとしてしまう。
川湯温泉街|さびれているのに、なぜか好きになった
硫黄山から車で5分も走ると、川湯温泉街に入る。
シャッターが目立つ。
華やかさはない。
でも、道路脇の側溝から湯気が上がっていて、
それがなんともいえない風情だ。
足湯が無料で使える場所が数カ所ある。
冬に来たら、ここが最高だ。
外気温はマイナス10度近かったのに、
足だけ温かくて、体が緩んでいった。
源泉かけ流しの宿が多く、
日帰り入浴を受け付けているところもある。
料金は700円〜1,000円ほど。
湯は強酸性で、少しぴりぴりする。
肌が弱い人は長湯に注意した方がいい。
夕方になると観光客がさらに減る。
街灯と湯気だけが残る。
その時間の川湯温泉が、いちばん正直な顔をしている。
寂しいのに、また来たいと思わせる場所だ。
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有毒温泉への行き方
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