マイナス15度の朝。 白樺の森を抜けると、突然視界が開ける。 眼下に広がるのは、雲海に沈む十勝平野。 東ヌプカウシヌプリ。 標高1252m。その頂に立つと、北海道がこんなに広かったことを思い知る。 冬にしか見られない景色がある。 ここにしかない静寂がある。
東ヌプカウシヌプリのおすすめスポット
東ヌプカウシヌプリ山頂|雲の上に出た瞬間、言葉を失った
登山口から山頂まで、約2時間半。
冬のコースタイムは夏より長くなる。
スノーシューを持って入山した。
樹林帯の中は風がない。
しんとした静けさの中を歩く。
自分の息の音だけが聞こえる。
標高1100mを超えたあたりから、木が低くなる。
空が広くなる。
そして頂上直下の稜線に出た瞬間、風がくる。
眼下に十勝平野が広がっている。
雲がちょうど谷を埋めていて、山の頂だけが島のように浮かんでいる。
向かいに西ヌプカが並んで立っている。
寒い。体感マイナス20度はあった。
でも動けない。
しばらく、ただ立っている。
頂上で10分。それで体の芯まで冷えた。
下山は1時間40分。
早足になるのは寒さのせいだけじゃない。
あの景色をもう一度見たくなるから。
林道アプローチ|登山口まで、すでに旅が始まっている
登山口へ向かう林道は、冬は未除雪区間がある。
4WDスタッドレスでも、ここは慎重になった。
早朝5時半に然別湖畔を出発した。
ヘッドライトが白樺の幹を照らしながら進む。
気温はマイナス13度。
車の窓が内側から曇る。
林道入口に車を止めて、外に出ると静かだ。
音が、ない。
雪が音を吸っているのか。
そういう静けさだ。
準備に20分かかった。
レイヤリングを間違えると、汗冷えで動けなくなる。
ベースはウールにした。
アウターはゴアテックス。
スノーシューは現地レンタルも使えるが、自前の方が歩きやすい。
冬山はスタートが全てだ。
朝の空気を吸いながら、ゆっくり歩き始める。
この最初の30分が、一番好きだ。
然別湖と下山後|冷えた体に、温泉が染みた
下山後、然別湖畔温泉まで戻った。
足がガクガクしている。
然別湖は北海道で最も標高の高い湖だ。
標高810m。
冬は全面結氷する。
その上を歩ける。
湖の上は別の静けさだ。
山とは違う。
もっと広くて、もっと白い。
360度、どこを向いても山が囲んでいる。
2月になると「しかりべつ湖コタン」が開かれる。
氷でできた露天風呂がある。
湖の上で、外気マイナス10度の中に浸かる体験だ。
恥ずかしさより、気持ちよさが勝った。
下山してから温泉ホテル風水の日帰り入浴を使った。
料金は800円。
営業は14時まで入れる。
体の芯から温まるのに30分かかった。
それだけ冷えていたということだ。
帰り際、売店で豚丼の弁当を買った。
車の中で食べた。
これが、妙においしかった。
モデルコース
東ヌプカウシヌプリへの行き方
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