北海道に、富士山がある。 そう聞いて、半信半疑で向かった。 冬の道東、気温はマイナス10度を下回っている。 雪原の向こうに、その姿が現れた瞬間—— 「ああ、本物だ」と声が出た。 温泉が生み出した、白い山がそこにあった。
温泉富士のおすすめスポット
温泉富士|マイナス10度の雪原に、白い山が盛り上がっている
川湯温泉の源泉近く。
誰かに教えてもらわなければ、気づかずに通り過ぎるような場所にある。
温泉水が何十年もかけて積み重なり、小さな富士山の形になった。
高さは約2メートルほど。
スケールで言えば、こぢんまりしている。
でも、実際に目の前に立つと、妙に感動する。
自然がつくった造形物というのは、なぜこんなに胸に刺さるのだろう。
表面は白く凍りついて、硫黄の匂いがかすかに漂っている。
触れてみると、ざらりとした石灰質の感触。
温泉が固まった、その積み重ねがここにある。
観光客はほとんどいない。
冬の朝7時、誰もいない雪原にその山だけがあった。
あの静けさは、なかなか忘れられない。
川湯温泉|硫黄の匂いと湯気が、街全体に漂っている
温泉富士を見た後、体が芯まで冷えている。
川湯温泉の街に戻って、日帰り入浴に飛び込んだ。
料金は500円。
お湯は強酸性の硫黄泉で、入った瞬間にじわじわと効いてくる感じがある。
肌がすべすべになる、と地元の人に教えてもらった。
確かに、上がった後の肌の感触が違った。
街全体が湯気に包まれていて、どこを歩いても硫黄の匂いがする。
それが不思議と落ち着く。
温泉街自体は小さくて、歩いて全部まわれる規模だ。
川湯エコミュージアムセンターで無料の地図をもらって、ぶらっと歩くのがいい。
冬の川湯は観光客が少ない分、地元の人たちの日常がよく見える。
温泉の向こうに雪をかぶった山が見える。
その景色の中に、自分だけがいる。
そういう時間が、旅の本当の醍醐味だ。
硫黄山(アトサヌプリ)|地球が、今もここで動いている
川湯温泉から車で5分。
硫黄山(アトサヌプリ)に向かった。
駐車場から歩いてすぐ、もうもうと噴気が上がる岩山が現れる。
近づくにつれ、硫黄の匂いが強くなる。
足元は黄色い岩肌で、雪と硫黄の白と黄色が混ざり合っている。
ノイズキャンセリングイヤホンを外して、しっかり耳を澄ませた。
ボコボコと、地面の中から音がしている。
地球が生きている音だ、と直感的に思った。
入場料は500円。
冬でも無料の足湯が楽しめる(靴下は脱ぎやすいものが便利)。
噴気の近くまで近寄れる遊歩道があって、20分ほどで一周できる。
迫力は、写真では絶対に伝わらない。
実際に立って、匂いを嗅いで、音を聞かないとわからないものがある。
温泉富士からここまで来たことで、川湯温泉という場所の意味が、ようやく腑に落ちた。
すべてが繋がっている。
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温泉富士への行き方
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