札幌から車で1時間もかからない。 なのに、山頂に立つと別世界だ。 漁岳(いざりだけ)は標高1318m。 冬になると全面が雪に覆われ、 スキーブーツで踏み込むたびにキュッと鳴く。 その音が、なぜかたまらなく好きだ。 気軽に来れるのに、来るたびに圧倒される山がある。
漁岳のおすすめスポット
漁岳登山口|朝6時、誰もいない雪の入口に立つ
冬の漁岳、スタートは支笏湖の近くにある登山口から。
除雪されていない林道を、スノーシューかスキーで進む。
最初の1時間はほぼ樹林帯だ。
木の間から差し込む朝日が、雪面に細い影を落とす。
その光景だけで、もう来てよかった。
登り始めは緩やか。
でも標高が上がるにつれて、風が変わる。
ほんの少しだけ、空気が薄くなる感じがする。
気温はマイナス10度を下回ることもある。
顔が痛い。手袋2枚でも足りない。
それでも足が止まらない。
なぜかはうまく説明できない。
ただ、雪を踏む感触と静けさが、
続きを見たくさせるのだ。
駐車場は支笏湖畔にある無料スペースを使う。
路面凍結が激しいので、スタッドレスは絶対だ。
漁岳山頂|360度、全部が白かった
登り始めて約3時間30分。
樹林帯を抜けると、急に視界が開ける。
その瞬間、声が出た。
恥ずかしいくらい大きな声が。
山頂から見える景色は本当に容赦がない。
支笏湖が眼下に広がり、
遠くに羊蹄山のシルエットが浮かぶ。
晴れた日は洞爺湖まで見えることもある。
雪は締まっていて、踏むとキュッキュと鳴く。
その音が気持ちよくて、わざと踏み直した。
風速が強い日は体感温度がマイナス25度近くなる。
フリースだけでは10分も立っていられない。
ハードシェルと目出し帽は必須だ。
山頂で食べるカップ麺の話をしておく。
コンビニで買った300円のやつが、
なぜか異常においしかった。
標高と空腹と寒さが合わさると、
食べ物の評価基準が完全に変わる。
下山は登りのルートを戻る。
晴れていれば自分のトレース跡が見えて安心だ。
支笏湖温泉|下山後の湯で、体が戻ってくる
下山したら、まっすぐ支笏湖温泉に向かった。
体の末端から感覚が戻ってくる時間が、
なんとも言えなくてよかった。
支笏湖畔には温泉宿が数軒ある。
日帰り入浴を受け付けている施設もあって、
料金は600〜1000円前後が相場だ。
おすすめは湖を眺めながら入れる露天風呂。
冬の支笏湖は静かで、湯の中から見ると
湖面がグレーに輝いて見える。
美しいとかそういう言葉より、
ただ「すごいな」。
支笏湖は日本最北の不凍湖として知られる。
真冬でも凍らないことが多い。
だから湖面の色が季節関係なく深い。
温泉の後は湖畔のカフェで温かい飲み物を。
登山の話を同行者と振り返りながら飲む時間が、
旅のしめくくりとしてちょうどいい。
その日のことを、しばらく忘れない自信がある。
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漁岳への行き方
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