雲の切れ間から、十勝平野がどこまでも広がっている。 狩勝山は、そういう場所だ。 標高は1,141m。 北海道の冬は容赦ない。 でも、だからこそ見えるものがある。 雪に覆われた山頂から見下ろす景色は、言葉を探すのが馬鹿らしくなるくらい、静かで、大きかった。
狩勝山のおすすめスポット
狩勝山頂上|雪の上に立つと、北海道の広さが体に入ってくる
頂上に着いたのは、午前10時ごろだ。
気温はマイナス12度。
息が白くなって、すぐに消えた。
眼下に広がるのは十勝平野。
田畑の区画が、パッチワークみたいに見える。
晴れていれば、日高山脈まで見渡せる。
その日は雲が低かったけれど、雲海が谷を埋めていて、それはそれで息をのんだ。
山頂までのルートは整備されている。
冬は圧雪になるので、軽アイゼンは必須だ。
チェーンスパイクで十分という日もあるけれど、持っていかないと後悔する。
登り始めて1時間20分。
きつい、とは思わない。
でも、汗はかいた。
頂上の風が、その汗を一気に冷やしていった。
体が引き締まるような感覚。
これを味わいに来た。
狩勝峠展望台|明治の鉄道員が「日本三大車窓」と呼んだ場所
登山の前後に、ここには必ず立ち寄った方がいい。
展望台からの眺めは、頂上とはまた違う角度がある。
旧国鉄の狩勝線が走っていた時代、列車の窓からこの景色が見える。
乗客が声を上げたと言う。
それが「日本三大車窓」の由来だ。
路線は廃止されて、もう列車は走らない。
でも景色は残る。
冬の展望台は、人が少ない。
夏は観光バスが来るらしいけれど、2月の平日に来たときは、ほぼ誰もいない。
それが逆によかった。
風は強かった。
立っているだけで耳が痛くなった。
でも目の前の景色から、目が離せない。
駐車場から展望台まで、歩いて2〜3分。
気軽に立ち寄れる場所なのに、見えるものの規模が大きすぎる。
そのギャップが面白い。
狩勝高原エコトロッコ鉄道跡地|廃線の空気と、雪原の静けさ
旧狩勝線の廃線跡が、遊歩道として残っている。
夏はトロッコに乗れるらしいが、冬は運休だ。
それでも来た。
雪に覆われたレールの跡が、まっすぐ続いている。
木立の間に続く白い道。
誰もいない。
風の音だけが聞こえる。
廃線跡というのは、独特の空気がある。
かつて人が動いていた場所が、静かになってしまった感じ。
北海道にはそういう場所が多い。
ここもそのひとつだ。
歩いていると、雪がシンと積もっている。
踏み込む音だけが響く。
誰かが先に歩いた足跡が、少し残っている。
それだけが、ここに来た人の痕跡だ。
夏に来てトロッコに乗るのもいい。
でも冬のこの静けさは、この季節にしかない。
1時間ほど、ぼんやり歩いた。
悪くない。
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