札幌市内から車で30分。 そこに、こんな静けさがあるとは思わない。 白旗山は、冬になると別の顔を見せる。 トレースのない雪面、針葉樹の白い影、空の青。 誰もいない山道を歩いていると、街の音が完全に消える。 その瞬間が、ここに来る理由だ。
白旗山のおすすめスポット
白旗山|雪の重さが、耳を塞いでいく
標高321メートル。
低山と聞いて、少し舐めている。
登り始めて20分、その感覚は消えた。
積雪期の登山道は、夏とまるで別物だ。
踏み固められた雪が、足首まで沈む場所もある。
スノーシューを持ってきたのは正解だ。
周囲に広がるのはトドマツとエゾマツの森。
枝に雪が積もって、音を吸い込んでいる。
風が吹いても、どこか遠い話みたいに静かだ。
頂上付近で視界が開けた瞬間、思わず足が止まった。
石狩平野が、白く、果てしなく広がっている。
曇りだったのに、その景色は十分すぎた。
下山は約1時間。
膝がじんわり笑っている。
でも達成感より先に、また来たい。
白旗山競技場エリア|スキー場の空気を、横目に歩く
白旗山には、クロスカントリースキーのコースがある。
1972年の札幌オリンピックで使われた場所だ。
今も冬になると整備されて、滑走者が行き来している。
ハイカーと並走する形のルートで、互いに程よく無視しながら歩く感じが、妙に心地よかった。
コース沿いには、木製のベンチが点在している。
休憩で腰を下ろしたら、そのまま10分動けない。
木の温度と、雪の白さと、遠くの鳥の声。
それだけで十分だ。
競技場の建物前には自動販売機がある。
缶コーヒー130円。
冷えた手でプルタブを引く、あの感覚。
旅の中で一番おいしいコーヒーだっただ。
施設は年季が入っているが、清潔に使われている。
トイレは冬期でも使えた(これは重要だ)。
夕暮れの下山道|オレンジが、木々の間から漏れてくる
14時を過ぎると、光の角度が変わる。
北海道の冬は、日が落ちるのが早い。
15時半にはもう、稜線がオレンジに滲んでいた。
下山しながら振り返ると、踏んできた雪に影が伸びている。
自分の足跡だけが続いていて、少し誇らしかった。
森の中は薄暗くなるのが早い。
ヘッドライトを持っていたが、使わずに下りられた。
16時下山がギリギリのラインだ。
駐車場に戻ったとき、車のフロントガラスが凍っている。
気温は-7℃。
体は温かいのに、指先だけが現実を教えてくる。
帰りに清田区の温泉施設「さとらんど温泉」に寄った。
入浴料500円、ひとりで湯船に浸かりながら、今日歩いた道を頭の中で巻き戻した。
登山より、この時間のほうが好きだ。
モデルコース
白旗山への行き方
HUB CITY
札幌(拠点都市)から行ける旅先を見る →