札幌市内から車で30分。 そんな距離に、あんな静けさがあった。 盤渓山は標高683m。 決して高い山ではない。 でも冬に登ると、別の世界に放り込まれる感覚がある。 トレースのない雪面、音を吸い込む森、稜線から広がる札幌の街。 「近すぎて逆に来たことがなかった」という人が多い山だ。
盤渓山のおすすめスポット
盤渓山登山口|朝7時、誰もいないトレイルに踏み込む
登山口に着いたのは朝7時過ぎだ。
駐車スペースに車は2台だけ。
平日だったのもあるが、とにかく静かだ。
気温はマイナス8度。
吐く息が白く、すぐに消えた。
最初の15分は樹林帯をひたすら歩く。
スノーシューを履いていたが、前日の降雪でトレースはほぼなし。
足を置くたびにズボッと沈む感覚が気持ちいい。
こういう道を「整備されていない」と感じる人もいる。
でもそれが盤渓山の正直なところで、
自分の足で踏み固めていく感覚が妙に好きだ。
登山口から山頂まで約1時間20分。
距離は短いが、後半の傾斜がじわじわくる。
息が上がり始めた頃、木々の間から光が差してきた。
稜線が近い合図だ。
冬用の装備は必須。
チェーンスパイクかスノーシュー、ストック2本は持っていくべきだ。
盤渓山山頂|683mから見下ろす、白い札幌
山頂に立ったのは8時40分頃。
樹木が途切れ、急に視界が開ける。
正直、声が出た。
眼下に札幌の街が広がっている。
ビルも、道路も、全部ちゃんと見える。
でも音は一切ない。
その落差がすごかった。
山頂の気温はマイナス12度まで下がっている。
風が強い日は体感でもっと寒い。
じっとしていると5分で指先が痛くなる。
それでも20分ぐらいそこにいた。
誰もいない山頂で、コーヒーを飲んだ。
魔法瓶で持ってきたやつが、ちょうどいい温度に冷めている。
晴れていれば石狩湾まで見渡せる。
この日は薄曇りだったが、それでも十分だ。
むしろ街がシルエットのように霞む感じが、映画っぽかった。
山頂は広くない。
数人立てばいっぱいになる小さな場所だ。
でもそのこじんまりした感じが、独り占めしてる気分を高めてくれた。
盤渓温泉|下山後、体の芯まで溶けていく
下山してすぐ向かったのが盤渓温泉だ。
登山口から車で10分かからない。
ここがまた渋い。
昭和の空気がそのまま残っている建物で、
派手さは何もない。
でも泉質がいい。
ナトリウム・カルシウム塩化物泉。
お湯がトロッとしていて、冷えた体に沁みる。
入った瞬間「ああ」と声が出た。
内湯だけのシンプルな作りだが、
窓の外には雪をかぶった木々が見える。
誰も喋らない。
お湯の音だけがしている。
入浴料は500円。
高くも安くもない。
持参したタオルとシャンプーで十分まかなえる。
ロッカーに100円が必要なので小銭を用意しておくといい。
浴槽で1時間近くのんびりした。
登山の疲れが抜けていく感覚と、
外が雪景色という事実が、
妙な幸福感を作り出している。
このためだけにまた来てもいい。
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盤渓山への行き方
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