地図の端っこに、この山はある。 アクセスも、情報も、整っていない。 それでも行きたくなるのは、 ここにしかない景色があるから。 知床岳は、北海道の最果て・知床半島の先端に立つ標高1,254mの山。 登山道は整備されていない。 ガイドなしでは入れない季節もある。 それでも、あの稜線の向こうに広がる海を、一度見たら忘れられない。
知床岳のおすすめスポット
知床岳アプローチ|登山口まで、すでに別世界だ
羅臼側の登山口まで、車で1時間以上かかった。
舗装路が途切れ、砂利道になり、
やがて獣道のような林道に変わる。
熊の痕跡を示す看板が増えてくる。
ここ、本当に入っていいのか。
何度かそう思った。
登山口に着いたのは朝5時半。
気温はマイナス8度。
防寒着を3枚重ねても、指先が痛かった。
ヒグマの生息密度が日本一と言われる知床。
この日も、入山前に熊スプレーの使い方を確認した。
値段は1本8,000円前後。
お守りじゃなく、本当に必要な装備だと思って買った。
スタートから30分、
もう人の気配が完全に消えた。
風の音と、雪を踏む音だけになった。
その静けさが、怖いような、気持ちいいような、
妙な感覚だ。
山頂稜線|オホーツク海が、全部見える
山頂まで約5時間かかった。
コースタイムより1時間オーバー。
雪が深くて、何度もひざまで埋まった。
稜線に出た瞬間、風が変わった。
そして、視界が開けた。
オホーツク海が、地平線の向こうまで広がっている。
晴れていたのが本当に幸運だ。
2月の知床で快晴になる日は、ガイドいわく「5日に1日あればいい方」らしい。
海の青と、雪の白と、空の青が、
グラデーションもなく、ただ並んでいた。
ごちゃごちゃしていない。
シンプルすぎて、逆に圧倒された。
国後島も見える。
あそこは、日本なのか。
そういうことを、山の上で突然考えた。
山頂に立っている時間は15分だけ。
風が強くて、それ以上いられない。
でも、15分で十分だ。
あの景色は、目に焼きついたまま今もある。
下山後の羅臼|港町で食べた海鮮が、すべてを締めた
下山したのは16時を過ぎている。
足がガクガクしている。
とにかく温まりたかった。
羅臼の港に近い食堂に飛び込んだ。
夕方でも開いていたのは1軒だけ。
地元の漁師さんが常連らしく、
みんな無言でご飯を食べている。
頼んだのは「羅臼昆布ラーメン」800円と、
ホッケの開き定食1,200円。
ホッケが、両手を広げたくらいのサイズで出てきた。
骨のまわりの身が、ほろほろと崩れた。
羅臼昆布は、昆布の最高級ブランドと呼ばれている。
出汁が違う。
スープを一口飲んで、
「あ、これ本物だ」。
体も、腹も、満たされた。
知床岳を登る旅は、
食堂のこのラーメンで完成する気がした。
それくらい、すべてが整っている。
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知床岳への行き方
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