北海道の冬山というと、どこか遠い話のように聞こえるだ。 でも社満射岳は違った。 標高1296m。 道南の山の中では決して高くない。 それなのに、山頂に立った瞬間、言葉を失った。 360度、白い世界がそこにあった。 誰もいない。風の音だけが聞こえる。 こんな場所が、北海道に残っていたのか。
社満射岳のおすすめスポット
社満射岳|白銀の稜線、ひとりで独占した朝
出発したのは朝7時。
登山口の気温はマイナス11度だ。
息が白い。手がかじかむ。
それでも足を進めた。
樹林帯の中は静かだ。
雪が音を全部吸い込んでいる感じ。
アイゼンの音だけが、リズムよく続く。
1時間半ほど登ると、景色が一気に開けた。
羊蹄山が見える。
ニセコの山々が並んでいる。
晴れていたら、噴火湾まで見渡せると聞いている。
その通りだ。
山頂は風があった。
マイナス20度近い体感温度。
それでも5分、10分と立ち尽くした。
寒さより、景色が勝った。
この日、すれ違ったのは下山途中の1人だけ。
ほぼ貸し切りの冬山だ。
北海道の山の懐の深さを、体で知った日だ。
登山口周辺|スタートは静かな雪の林道から
登山口に着いたとき、先行者の足跡はない。
自分のトレースが、一番新しい。
そういう朝だ。
林道を10分ほど歩くと、登山道に入る。
最初はなだらかな斜面が続く。
雪質はパウダーで、踏み込むたびにキュッと鳴る。
北海道の雪は、音が違う。
途中、エゾリスと目が合った。
向こうも驚いた顔をしている。
3秒見つめ合って、木の上に消えた。
登山道の途中に分岐がある。
標識は雪に埋もれかけていたので、地図は必ず持っていくこと。
スマートフォンの電波は山頂付近でほぼ入らない。
冬の北海道の山は、準備がすべて。
でも準備した分だけ、返ってくる景色がある。
それを、この林道を歩きながら実感した。
八雲町の宿|山を降りて、温まる夜
下山したのは14時過ぎ。
全身の筋肉が、ちゃんと働いたと言っている。
八雲町の市街地まで車で40分ほど戻る。
温泉は「はぴあ八雲」が便利だ。
入浴料は500円。
シャンプーも借りられる。
地元のお年寄りに混じって、湯に浸かる。
夕飯は町の食堂で定食を頼んだ。
八雲は牛乳の産地として有名だ。
牛乳が冷蔵庫から出てきた瞬間、濃さが違う。
宿はゲストハウス風の小さな宿に泊まった。
1泊4500円ほど。
オーナーが山情報を教えてくれた。
「明日は天気が崩れるから、今日登れてよかったね」と言われた。
山は、タイミングだ。
来た日に晴れている保証なんてない。
だから、晴れた日に登れたことが、何より贅沢だ。
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社満射岳への行き方
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