稜線に立った瞬間、言葉が出ない。 眼下に広がる雪原、遠くに十勝岳の噴煙。 北海道の山は、スケールが違う。 美瑛岳は標高2,052m。 冬に踏み込む人は少ない。 だからこそ、あの静寂があった。
美瑛岳のおすすめスポット
美瑛岳登山口|夜明け前、−15℃の出発
望岳台の駐車場に着いたのは朝5時半。
気温はマイナス15℃。
吐く息が白く、すぐ凍る。
夏とはまるで別の山だ。
トレースは薄く、先行者の足跡がかろうじて残っている。
アイゼンを装着して、ヘッドライトをつけて歩き出した。
樹林帯を抜けると風が変わった。
一気に視界が開ける。
白と青だけの世界。
稜線までのコースタイムは夏で約4時間。
冬はラッセルがあれば6時間超になることもある。
この日は雪が締まっていて、約5時間で山頂直下まで届いた。
振り返るたびに景色が変わる。
富良野の平野、遠く大雪山系。
どこを切り取っても絵になる。
カメラを出すたびに手が凍えた。
山頂直下の雪庇|踏み外したら終わりの場所
山頂手前200mが、この山の核心だ。
雪庇が発達していて、稜線の端がどこかわからない。
風は横から叩きつけてくる。
ガスが出始めている。
同行した山仲間と10m間隔でロープをつないだ。
雪面をピッケルで叩きながら進む。
硬い。締まっている。悪くない。
でも一歩ずつ確認しないと怖い。
山頂に立てたのは11時15分。
出発から5時間45分。
ガスの切れ間に十勝岳が見える。
3秒だけ。それで十分だ。
冬の山頂は長居できない。
写真を撮って、5分で下山を始めた。
それくらいの緊張感がずっとあった。
美瑛岳の冬は、観光じゃない。
本気で向き合う山だ。
白金温泉|凍えた体を溶かす、山帰りの一湯
下山して望岳台に戻ったのは15時過ぎ。
足が棒になっている。
そのまま車で15分、白金温泉へ向かった。
日帰り入浴は「湯元白金温泉ホテル」で700円。
内湯だけだが、それで十分だ。
湯温は42℃。
凍えた指先にじわじわと熱が戻る。
あの感覚は山帰りにしかわからない。
露天風呂から冬枯れの森が見える。
雪が木の枝に積もって、静かだ。
さっきまであの稜線にいたとは思えない。
温泉のあとは「道の駅びえい『白金ビルケ』」で軽食。
美瑛牛乳を使ったソフトクリームが390円。
寒いけど食べた。旨かった。
山と温泉と、北海道らしい締め方だ。
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美瑛岳への行き方
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