地図を広げると、日高山脈の奥に静かに座っている。 群別岳。標高1,376m。 メジャーな山ではない。 だからこそ、行った。 積雪期にしか見えない景色がある、と聞いている。 その言葉が、ずっと頭から離れない。
群別岳のおすすめスポット
群別岳登山口|朝4時の闇に、スタートラインがある
冬の登山口に着いたのは、まだ空が真っ暗な4時過ぎ。
気温はマイナス14度だ。
ヘッドライトの光だけを頼りに歩き始める。
足元は締まった雪。
アイゼンが、キュッキュッと鳴く。
林道区間が長い。
約6kmを黙々と進む。
誰もいない。
静寂というより、無音。
自分の息だけが白く揺れている。
樹林帯を抜けたあたりで、空が少しずつ白み始めた。
そのタイミングが、ちょうどよかった。
山の輪郭が現れてくる瞬間は、何度見ても息を飲む。
急いで来てよかったと、心から思った。
群別岳山頂|360度、誰も削っていない白がある
山頂に着いたのは、スタートから約7時間後。
11時を少し過ぎている。
風が強い。
立っているのが精一杯のときもある。
それでも、足が動かなくなった。
日高の山々が、全部見えている。
幌尻岳、戸蔦別岳、芽室岳。
白い稜線が、連なってどこまでも続いている。
人工物はひとつもない。
この景色に、名前なんてつけなくていい。
山頂の気温はマイナス18度。
行動食のチョコが、凍って割れた。
それでも20分、立ち続けた。
寒いより、もったいない。
こんな景色、もう一生見られないだから。
下山後の日高町|体が冷えきったあと、あの豚丼がある
下山したのは16時を回っている。
足は笑っている。
顔が泥と汗と風でひどいことになっている。
そのまま日高町内の食堂に滑り込んだ。
地元の人が普通に来るような、飾り気のない店。
頼んだのは豚丼、900円。
運ばれてきた瞬間、湯気でメガネが曇った。
一口食べて、体の芯から溶けていく感じがした。
この瞬間のために登っただ、と半分本気で思った。
山の余韻と、温かい食事と、疲労感。
このセットが、また来たいと思わせる。
群別岳はそういう山だ。
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群別岳への行き方
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