地図で見ると、ただの山だ。 でも冬の苦頓別山は、別物だ。 稜線に出た瞬間、風が止んだ。 眼下に広がる白い平野と、遠くに見えるオホーツク海。 誰もいない。音もない。 こんな景色が、北海道の奥地にひっそり存在している。
苦頓別山のおすすめスポット
苦頓別山|誰も教えてくれなかった、白い稜線の果てに
登山口に着いたのは朝7時半。
気温はマイナス14度だ。
駐車スペースには先客ゼロ。
トレースも一切ない新雪がそのまま広がっている。
スノーシューを履いて踏み出す。
最初の30分は樹林帯の急登。
雪が深くて、一歩踏むたびに膝まで沈む。
体が温まってきた頃、木々が薄くなった。
標高約870mの頂上に出たのは10時20分。
そこからの眺めが、言葉を失わせた。
南には天塩山地の稜線が重なり合っている。
北に視線を向けると、白い原野がどこまでも続く。
その先に、光る線がある。
オホーツク海だ。
風が弱かった日だったのは幸運だ。
山頂で20分、ただ立っている。
カップ麺を食べながら、また来よう。
下山は1時間10分。往復で約4時間のルートだ。
音威子府村|最北の蕎麦と、小さな駅の静けさ
下山後に立ち寄ったのが、音威子府村の中心部。
人口200人台。北海道で最も人口が少ない村だ。
JR宗谷本線・音威子府駅の近くに、目当ての店がある。
「音威子府そば」を出す店だ。
真っ黒な蕎麦が運ばれてきた。
見た目からして普通じゃない。
甘皮ごと製粉するから、この色になる。
一口すすると、香りが鼻に抜ける。
コシが強くて、噛むと粉の風味がくる。
山から下りてきた体に、熱いそばが染みた。
食後に駅舎を覗いた。
無人駅で、ベンチが二つあるだけ。
列車は1日数本しか来ない。
それでも待合室に花が飾ってあった。
誰かが手入れしているんだ。
村の人たちの、この場所への気持ちが見えた気がした。
天塩川沿いの林道|冬にしか見えない風景がある
帰り道に少し寄り道した。
天塩川沿いの林道を走ったのだ。
除雪された道が細く続いている。
両側に白樺が並んで、枝に雪が積もっている。
速度を落として走ると、静寂がずっしりくる。
川面が一部凍っている。
岸のアシが雪をかぶって、折れそうにたわんでいる。
その向こうに山が見える。
写真を撮ろうとして、車を降りた。
外に出た瞬間、頬に刺さるような冷気。
でも空気が澄んでいて、遠くまで見える。
ここに観光客はいない。
看板も案内板もない。
ただ川があって、木があって、雪がある。
冬の北海道の奥地を走ると、こういう場所に偶然出会う。
地図に名前のない風景の方が、記憶に残ったりする。
日が傾き始めたのが15時過ぎ。
すぐに暗くなる。急いで国道に戻った。
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苦頓別山への行き方
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