札幌市内から車で20分もかからない。 なのに、そこには街の喧騒とは別の時間が流れている。 荒井山。 地元の人でも知らない人がいるくらい、静かな山だ。 冬に来ると、世界が白く塗り替えられる。 その静けさに、少し怖くなるくらいだ。
荒井山のおすすめスポット
荒井山シャンツェ|飛んだことがなくても、ここに立つと何かがわかる
荒井山といえば、スキージャンプの台がある。
1972年の札幌オリンピック、その聖火が灯された場所だ。
今は現役の競技施設として使われている。
台の下から見上げると、首が痛くなる角度だ。
「ここから人間が飛ぶのか」。
冬の朝、9時ごろに訪れると練習中の選手がいた。
助走して、踏み切って、空中に放り出される。
その一瞬が、あまりにも美しかった。
写真を撮るのを忘れるほどだ。
台に上がれる日もある。
頂上から見下ろす景色は、膝がガクガクするほどの高さ。
札幌の街が一望できて、それだけでも来た意味がある。
入場は無料の日がほとんどだが、イベント開催日は変わることもある。
事前に確認してから行くのが無難だ。
荒井山緑地|人がいない森の中で、雪の重さを聞いた
シャンツェから少し歩くと、緑地エリアに入る。
整備されているようで、されていない。
そのくらいの自然さがちょうどいい。
冬は雪が積もって、木の枝がしなっている。
シーンとしている。
本当に、音がない。
雪が落ちる「ドサッ」という音だけが聞こえる。
トレイルは短くて、1周30分もあれば回れる。
急斜面もなく、スノーブーツがあれば十分歩ける。
途中、狐の足跡らしいものを見つけた。
エゾリスに会えることもあるらしい。
この日は会えなかったが、それでも十分だ。
観光地化されていないから、誰とも会わないこともある。
ひとりで来るのに、向いている場所だ。
静かにしていたい日に、ここを思い出す。
荒井山からの夕景|午後4時、空が橙色に染まる瞬間だけを待っている
冬の札幌は日が暮れるのが早い。
16時ごろには空がオレンジに変わり始める。
荒井山の高台から眺めると、街と空の境界線がぼやける。
その時間を狙って来た。
結果として、それが正解だ。
手袋をしていても指が冷えてくる。
マイナス5度くらいだ。
それでも動けない。
札幌の街がシルエットになって、空が燃えている。
「綺麗」という言葉が軽く感じるほどだ。
三脚を持ってきている人が、ひとりいた。
地元の人らしく、慣れた様子でシャッターを切っている。
声をかけたら「毎週来てる」と言っている。
そういう場所なんだ、ここは。
特別な日じゃなくても来たくなる場所。
帰り道、また来よう。
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荒井山への行き方
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