地図を見て、名前に惹かれた。 西クマネシリ岳。 北海道の奥深く、道東の山域に静かにある。 標高1,256m。 冬になると、誰も踏み入れない雪原が広がる。 トレースなんてない。 あるのは、風の音と、自分の息だけ。 そこに行きたくて、スキーを担いで向かった。
西クマネシリ岳のおすすめスポット
西クマネシリ岳|誰もいない、真冬の白い稜線へ
朝6時、駐車スペースに車を止めた。
気温はマイナス18度。
ドアを開けた瞬間、空気が頬を刺した。
ここはアプローチが長い。
林道から入って、樹林帯を抜けて、稜線に出るまで約4時間。
スノーシューでもいい。
でもその日はBCスキーを選んだ。
樹林帯の中は静かだ。
自分のシールの音だけが響く。
野生動物の足跡がいくつかあった。
キツネか、それともエゾシカか。
稜線に出た瞬間、息が止まった。
十勝の山々が一列に並んでいた。
雲ひとつない。
芦別岳、ニペソツ、石狩岳。
全部、手が届きそうに見える。
頂上に立ったのは11時ごろ。
コンビニで買ったおにぎりが凍っている。
それでも、うまかった。
樹林帯のルート|誰も踏んでいない雪を歩く感覚
トレースがない、というのはこういうことか。
一歩ごとに、膝まで沈む。
スノーシューをはいていても、深いところは腰まで入った。
先行者がいないということは、ルートを自分で読む。
それが怖くて、おもしろかった。
樹林帯の中の雪は、別の質感をしている。
日が当たらないから、パウダーがそのまま残っている。
手で触ると、サラサラと崩れた。
こんな雪、ゲレンデでは絶対に味わえない。
途中、沢を渡る場面があった。
雪の橋を慎重に渡った。
踏み抜いたら終わり、という緊張感。
でもそれがいい。
北海道の山は、整備されていない。
それが魅力だ。
「なんとかなる」じゃなくて、「自分でなんとかする」山だ。
下山は滑走で。
40分でベースまで戻った。
あの4時間が40分になる快感は、BCの醍醐味そのものだ。
下山後の南富良野|体を温める、小さな町の夜
下山してから、体が震えている。
寒さではなく、興奮だ。
南富良野の町は小さい。
コンビニは1軒あるかないか。
でも、それでいい。
温泉は「かなやま湖畔キャンプ場」の近くにある施設を使った。
大人600円。
誰もいない。
貸し切りで湯に浸かりながら、今日登った山を頭の中で再生した。
夕食は持参した米を炊いた。
車の中で、山を眺めながら食べた。
外はマイナス20度に近かった。
車内はエンジンをかけて暖かくした。
夜、空を見た。
星が多すぎて、どこから見ていいかわからない。
オリオン座がくっきりと見える。
都市の灯りが一切ない空というのは、こんな色をしている。
来てよかった。
ただ、それだけだ。
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西クマネシリ岳への行き方
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